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深刻な企業の後継者不足、一挙に解決するウルトラC?自治体取り組みも成功皆無

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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深刻な企業の後継者不足、一挙に解決するウルトラC?自治体取り組みも成功皆無の画像1静岡県事業引継ぎ支援センター「静岡商工会議所 公式サイト」より
起業」というと、自分あるいは仲間同士で創業資金を用意したり、エンジェル投資家(創業当初のベンチャー企業に投資を行う個人投資家)から資金援助を受けて会社を立ち上げるというイメージが強いだろう。

 さらに、自治体などが用意する格安のインキュベーション施設をオフィスとして利用したり、ベンチャーキャピタル(VC)などから資金供給を受けたりすることで創業期を乗り切り、事業を軌道に乗せるという流れが一般的だ。

「この事業アイデアには自信がある」「成功できそうなビジネスプランを持っている」という場合でも、その先には「どうやって創業資金を調達するか?」に始まり、さまざまな悩みや障害が待ち構えている。思いもよらないリスクに遭遇することもある。

 そのため、「ベンチャー企業が創業期に失敗する確率は93%」「起業した会社の10年後の生存率はわずか5%」などといわれるのが現実だ。しかし、起業のリスクを低減させて成功率を高める手段のひとつとして、「後継創業」がある。

 これは、起業家が既存の中小企業の後継者になり、建物、設備、信用、取引先、固定客のような有形無形の資産を受け継ぎながら、自分のやりたいビジネスを始めるというものだ。苗木をそのまま育てるのではなく、「接ぎ木」をして育てるようなもので、土台の木の根や幹(既存企業)の資源を利用して大きくなることができる。

後継創業のメリット

 例えば、2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人の急増が予想される中、「訪日外国人の『おもてなしビジネス』として、温泉付きの宿泊施設を経営したい」という起業希望者がいたとしよう。

 それが小さなペンションだとしても、宿泊施設を創業するには建設費だけで数千万円の資金が必要で、役所の許認可や温泉を利用する権利、室内の什器や設備、食材の調達、従業員の採用や教育などの人件費、広告・宣伝など、さまざまなコストがかかる。

 それ以前に、温泉地に建設適地を見つけるのが難しい。交通が便利で景色がいい絶好の立地には、たいてい昔から温泉旅館が建っているからである。しかし、そういった旅館が後継者難に陥っていて、起業希望者がその後継者になれるのだとしたら、起業のハードルはかなり低くなる。

 まず、建物が古くても防災上の問題がなければリフォームで済むため、一から建てるよりはコストを抑えることができる。役所の許認可や温泉利用の権利なども、そのまま継承することができる。

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