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高橋篤史「経済禁忌録」

「いつかはゆかし」のアブラハム、営業再開も再び逸脱行為発覚で頓挫 変わらぬ虚偽体質

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 しかし、アブラハムは独立した投資助言業者でもなんでもなかった。ある海外保険会社の代理店というのが本当のところだったのである。「いつかはゆかし」に入会した顧客が決まって勧められていた金融商品があった。英領マン島に本社を置き、ロンドン取引所に上場する、保険会社ハンサードの積立投資プログラム「アスパイア」がそれだった。アスパイアは保険機能を外した日本専用商品で、あらかじめメニューの中から選んだ海外投資信託に対し、毎月一定額を投資していくというものだ。

 アブラハムはハンサードと実質的な販売代理店契約を結んでいた。販売報酬の受け皿は高岡社長の実弟が株主・役員となった英領バージン諸島のサゲイシャス・トレンド・インターナショナル(STI)というペーパー会社だった。プールされた報酬は広告費名目などでアブラハムの親会社に送金され、さらにそこから監修費名目などでアブラハムに還流していた。それが大々的な広告宣伝などの原資だったわけだ。

 アブラハムは投資残高の1%だけを助言料として顧客から毎年受け取るという割安なサービスを宣伝材料にしていたが、実際にSTIを通じ受け取っていた報酬はそれの数倍にも上っていたとされる。アスパイアは申し込み時に初期ユニットとして最大2年分の金額を払い込まなければならず、最長30年にわたる積立期間の途中で解約すると、それが全額没収されてしまう仕組みだ。代理店が高額の報酬を受け取れる秘密はそこにあり、顧客にとっては真の意味で決して割安なサービスといえないものだった。

 アブラハムはマスコミへの登場をことのほか重視し、インターネット上の評判に神経を尖らせた。そこでひそかに行っていたのが、匿名サイトを多数開設して、あたかも自社のサービスが優れているかのように宣伝するステルスマーケティングだった。「ミンカイ」「みんなの積立」「大手町の起業家の日記」「テリーマン」――。筆者が入手した内部資料によれば、アブラハムの社員が書き込みを行い、海外サーバ経由で出所を隠した匿名サイトは一時期、約50にも上った。

新サービスの実態


 1974年生まれの高岡社長は東京大学卒業後に三井物産に入社、05年6月に退職して起業家の道を歩んだ。じつは高岡社長は三井物産在籍時から「MA投資」なる高額の株式レポートを発行して副業としていた。大阪の両親を取締役に据えてアブラハムの親会社に当たる会社を設立したのも三井物産退職前の04年8月だった。

 高岡社長は都心の高級マンションに住むことを好み、「いつかはゆかし」の会員獲得が軌道に乗った頃には月額180万円もする超高級マンションを社宅扱いにして移り住んだ。その頃が得意の絶頂だ。しかし、証券取引等監視委員会により裏報酬のからくりは暴かれ、投資助言業者としての登録しか行っていなかったため無登録販売と見なされ、6カ月間の業務停止処分を下された。

 今年1月にアブラハム・ウェルスマネジメントで業務を本格的に再開させると、自社の関連サイトに高岡社長と藤巻健史参議院議員の対談記事を載せている。マスコミへの登場を喧伝することも再び増えた。新サービスに関しては具体的内容についてなんら伝えようとしない一方で、「元本確保型」など顧客にとって耳障りのいい言葉だけはいくつも並べた。結局のところ、サービス自体も「いつかはゆかし」と代わり映えしないものだし、悪しき体質も以前と何ら変わってはいなかった。

 今回、アブラハムに取材を申し込んだところ、「広報担当者が不在」と言うのみで、その後の回答は何もなかった。
(文=高橋篤史/ジャーナリスト)

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