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東芝、深刻な内部崩壊 権力闘争と部門間潰し合いで、自慢の危機管理制度が機能せず

文=伊藤歩/金融ジャーナリスト
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 では工事進行基準の会計処理に絡む不正という点で、東芝のケースと比較的類似しているとされるIHIはどうか。同社の場合は、08年3月期の通期業績予想について、07年9月に期初公表値を大きく下方修正したことが発端だった。

 東芝の件と異なるのは、あくまで業績見通しの再点検中に各部門から上がってきた数値を集計した結果判明したのであって、外部機関への内部告発がきっかけではなかったという点である。とはいえ、短期間での大幅な業績予想修正は業績管理のずさんさを疑われてしかるべき。そこで原因究明のため第三者委員会による調査が実施され、意図的な損失隠しがあったわけではないが、リスク管理体制は不十分だったという結論になった。

最終的に、246億円の黒字だった07年3月期の営業損益を56億円の赤字に、そして期初予想で400億円の黒字としていた08年3月期の営業損益予想を150億円の赤字に修正。営業損益の修正総額は852億円に上ったが、修正の前後で毀損した純資産は5.2%程度にとどまった。

 人事面では、代表権を持っていた取締役会長が相談役に退き、社長は6カ月無報酬、副社長以下5人の役員が6カ月間10~30%の減俸、問題を引き起こしたエネルギー・プラント部門の担当取締役兼執行役員が辞任という処分を受けている。つまり、年間営業利益の2~3倍の損失を出してこの程度だったということであり、東芝のケースは、数字だけでいえばカネボウやオリンパスとは比較にならないほど軽微で、IHIと比較してもはるかに軽い。

「軽微な」ペナルティ

刑事事件にならなかった日興コーディアルとIHIでは、金融庁から課徴金納付命令を受けているが、この課徴金の計算ルールは明快で、粉飾した決算書類を参照書類に指定して市場から資金調達をしている場合と、していない場合とで計算方法が変わる。

 まず粉飾自体へのペナルティが、決算期1期につき発覚直前の時価総額の10万分の6。調達をしていないとこれで終わりだが、調達をしている場合は、これ以外に株式だと調達金額の4.5%、社債だと2.25%の課徴金が加わる。この掛け率は08年の金融商品取引法改正で引き上げられており、それ以前はそれぞれ10万分の3、2%、1%だった。

 IHIは粉飾へのペナルティは1500万円だったが、株で639億円、社債で300億円調達していたので、この分と合計で16億円弱になった。日興コーディアル証券のケースでは社債で500億円調達していたので、課徴金は5億円だった。以上2社はいずれも法改正前に処分を受けているので、掛け率は改正前のものが使われている。

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