北越紀州と大王の因縁は、11年にまでさかのぼる。大王では創業家の3代目、井川意高元会長による子会社からの巨額借り入れが発覚。意高氏の父親で、大王の中興の祖といわれた創業家2代目、井川高雄元会長と、創業家支配から脱却したい佐光社長ら経営陣の対立が深刻になった。この時、助け舟を出したのが北越紀州。高雄氏ら創業家が持つ大王の株式(全体の2割に相当)を北越紀州が引き取った。

 北越紀州は出資を機に、大王、三菱を巻き込んだ第三極の形成を狙った。だが、企業規模で北越紀州に勝る大王の経営陣は、北越紀州の軍門に下るつもりはなかった。創業家とのお家騒動を収束させるために、北越紀州が株式を持つことを容認しただけだった。 

 むしろその後、両社の溝は深くなった。12年には大王の元関連会社が北越紀州の株式を北越紀州側に断りなく取得していたことが発覚。北越紀州がこれを問題視して、13年の大王の株主総会で佐光社長選任に反対した。選任に反対するのは今回で2度目となった。

第三極構想は空中分解寸前

 北越紀州と大王の争いは、第三極の主導権をどちらが握るかという点をめぐるものである。

 製紙業界は15年3月期の売上高ベースで、王子ホールディングス(HD)が1兆3472億円で首位。旧・王子製紙が戦後に分割した3社のうち苫小牧製紙と本州製紙を継承。家庭紙の商標は「ネピア」。2位は1兆524億円の日本製紙。旧・王子製紙の十条製紙を継承。01年に大昭和製紙を統合した。家庭紙は「クリネックス」「スコッティ」。3位は売り上げ5226億円のレンゴーだが、段ボール専業メーカーのため上位2社とは業態が異なる。

 その王子HDと日本製紙の2強に対抗する第三極を形成すると期待されてきたのが、4位の大王製紙(15年3月期売上高4502億円)、5位の北越紀州(同2284億円)、6位の三菱製紙(同2149億円)の3社統合である。3社の売上高を単純合計すると8935億円で、第三極には十分なり得る規模。

 しかし、北越紀州と大王の主導権争いで、第三極をつくる構想は空中分解寸前である。
(文=編集部)

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合