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ジャーナリズム

東京五輪、重大な“障害”浮上 たばこ規制強化を妨げるJTと財務省の“不可侵領域”

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 そうした政治力を駆使する一方で、JTは独自に生き残り策を模索している。たばこ以外の事業にも手を伸ばし、多角化を図った。88年にはJT飲料を設立して飲料事業に、96年にはバーガーキングジャパンを設立して飲食事業にも進出したが、長い歳月をかけて進めた多角化は苦戦。このほどJTは飲料事業から撤退することを発表し、自販機事業はサントリーに売却することが決まった。バーガーキングジャパンは、2001年には全店舗の営業を終了している(その後、別法人によって営業開始)。

 こうした背景もあり、JTは国内市場が厳しくなる状況の中、海外に活路を求めて海外たばこメーカーのM&A(合併・買収)を繰り返した。92年の英マンチェスター・タバコ買収から始まり、99年には米RJRナビスコを買収して勢いを加速させた。JTは、この買収で「キャメル」「ウィンストン」といった今ではJTの主力商品になりつつあるブランドを獲得。さらに、世界3位のたばこメーカーへと躍進した。

 JTは誕生の経緯や長らく専売という国の手厚い保護を受けながら、巨大企業に成長してきた。民営化されたとはいえ、現在も株式の多くを政府が保有していることを踏まえれば「国営企業色」を完全に払拭しているとはいいがたい。

完全民営化の動き

 そんなJTだが、政府保有株式を売却して完全に民営化することも検討され始めた。完全民営化されればJT法は廃止になり、自由に資金調達ができるようになる。また、農家からの葉たばこ全量買い取り義務はなくなる可能性も高い。

「JTは態度を明らかにしていませんが、海外から葉たばこを安く輸入できるメリットがあるので、内心では完全民営化に賛成しています。しかし、そうなれば国内市場の製造から販売まで独占している利権も手放すことになる。外国メーカーと対等に戦うことになるので、同社は完全民営化を目指しながら、利権は手放さずに済む方策を模索しているようです。しかし、そんな虫のいい話は、さすがに世間も認めない。同社もそれを十分に理解しているので、態度を曖昧にして自民党などの顔色をうかがっているのです」(松沢氏)

 東京五輪を契機として、日本のたばこ規制、そしてJTをはじめとする業界全体に大きな変化が訪れるのか、岐路に立たされているといえよう。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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