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出版崩壊の序曲?老舗取次が破綻!出版社に“多重の苦しみ”与える再建策に業界猛反発

文=佐伯雄大
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「経営者や経理担当者なら、このいびつで偏った提案にはすぐに気付きますよ。売掛金は戻ってこない、そのくせに返品だけは引き取れという。返品代金の中には凍結された債権の書籍もある。返品を引き取れば、大阪屋の売り上げから差し引かれてしまう、こんな2重、3重の負担を、よくも出版社に強いようという気になったものだ。栗田さんとは長年一緒にやってきた仲間だと思っていたが。本当に信じられない」

怒号も飛び交う債権者説明会

 業界が騒然とする中、7月6日午前9時、債権者説明会の会場である東京・銀座のベルサール汐留には、すでに300人くらいが列をなしていた。結果的として1500人近い業界関係者が集まったが、その規模は毎年新春に開かれる出版取次最大手のトーハン、日販の新年会に匹敵する。

 債権者説明会では、栗田側が提示した返品方法をめぐり紛糾。質疑応答で2時間半を超える長丁場となった。「返品方法の提案を撤回せよ」「再生スキームを撤回せよ」「できないんだったら、破産しろ」などの怒号も飛び交った。

 しかし、栗田側は最後まで撤回しなかった。ただ、「一部の債権と返品とを相殺することを検討している」と返品の質問が出るたびに繰り返し、出版社への妥協案を提示するだけだった。最後のセリフはお決まりの「貴重な意見として参考とする」といって流した。しかも、応答はほとんどすべて弁護士が対応。その状況に、栗田に対して当初は同情的な視線を送っていた親しい出版社も呆れていた。この説明会に出席したある出版社の経営者は言う。

「書店のため、読者のために商品供給をしてほしいと言っているが、出版社からすれば栗田が書店をたてにして、商品を要求しているようにしかみえない。そういう情に訴えかけるような言い方だった。さらに弁護士は、私たちが提案するスキームを出版社が呑まないと、栗田は破産して、書店や読者も困ってしまう。栗田が破産すると配当は減り、よいことはない、だからこのスキームに協力してほしいという繰り返しだった。はっきり言って、栗田がなくなっても本の流通にはそれほど影響はない。書店や読者が困るのも栗田の責任だ。出版社に責任転嫁するのはいかがなものか」

不自然な民事再生

 その一方で、今回の民事再生で不自然な点を指摘する声も出ている。出版社の営業担当者は言う。

「今年の東京国際ブックフェアが始まった頃の7月2日に、栗田の債権者リストがインターネット上に流れた。東京商工リサーチが債権者リストを同日から販売していたのだが、それをネットで流した人がいたようですね。そのサイトは現在消滅していますが、おかしなことにそのリストには、金融機関が一切載っていないのです。ただ、記載された内容の真偽について債権者説明会で聞くと、申請代理人は特殊なケースだとしつつも、それを認めました。つまり、金融関係の債権者がいないというのです」

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