「Thinkstock」より
調査会社インテージの調査によると、2014年度の健康食品・サプリメント市場規模は1兆5000億円を超え、国民一人当たりの平均購入額は2万7176円だったという。4月には機能性表示食品制度が始まったこともあり、市場拡大は加速すると考えられ、17年度には2兆円を超えるとの見方も多い。
関節痛に効果があるといわれるコラーゲンやコンドロイチン、女性ホルモンの分泌量を整えるといわれる大豆イソフラボン、男性の精力増強に有効といわれるノコギリヤシやマカ、肌荒れ対策としてビタミンB群およびE、アンチエイジングに有効といわれるコエンザイムQ10など、さまざまな製品が発売され、中高年を中心に飛ぶように売れている。
サプリメントは薬になりそこなった成分?
ところでサプリメントには、どれほどの効果があるのだろうか。実は、サプリメントの効能について、医師や薬剤師の中には懐疑的な意見が多い。
なぜならば、サプリメントとして売り出されている成分には、薬としての製品化を研究する過程で効果がないとして見限られたものが多いためだ。
例えば、高齢者に大人気のコエンザイムQ10は、もともと心臓病の治療薬として研究が進められ、実際に複数の薬剤が発売されたが、現在では心臓病の治療効果はほぼ否定されており、アメリカの心臓学会や心臓協会は「心不全の治療としてコエンザイムQ10を利用することは、きちんと根拠が蓄積されるまでは推奨されない」と結論づけている。日本でも医療現場での利用はなくなってきており、「若さを保つ」サプリメントとして市場に出回るようになったのだ。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)なども薬利用が検討されていたものの、治療効果を立証できずにサプリメントになった経緯がある。
テレビCMで「これを飲んで痛みがなくなった」「驚くほど体調がよくなった」と語る高齢者の言葉をそのまま信じてはいけない。テレビ画面下には小さく「あくまで個人の感じ方であり、効果を保証するものではありません」とテロップが必ず入っており、利用者がそう感じているだけで、メーカーは直接効果をうたっていないという逃げ口上を用意している。効能を堂々と掲げられないような商品に期待するべきではない。