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丸の内と三菱地所の没落 次々と街を蘇らせるあの企業、8エリア同時再開発で東京を変形?

文=福井晋/フリーライター
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 三井不動産は近年、欧米の都市再開発事業にも触手を伸ばしている。中でも同社が6月5日に発表した2つの海外案件「ホワイトシティプレイス再開発計画」「テレビジョンセンター再開発計画」は、総事業費約4000億円といわれており、同社は元より国内企業の海外都市再開発事業としても過去最大規模の案件となる。

 いずれも英ロンドン市内にあるBBC(英国放送協会)から土地・建物を取得し、年内にも再開発事業に着手する予定だ。前者は6万9000平方メートルのエリアで新築ビル建築と既存ビル改修を行うプロジェクト。改修した既存ビルにはBBCがテナントとして入居する。竣工は17年の予定。後者は約5万6000平方メートルのエリアを再開発し、オフィスビル、ホテル、分譲住宅約900戸を新築するプロジェクト。竣工は18年の予定。

 三井不動産は12年頃から海外事業を本格化しているが、これまではオフィスビルや分譲住宅の単体建築に限っていた。今回は、海外で初めての大規模都市再開発案件となる。その意味で、同社が国内で蓄積してきた都市再開発ノウハウが、海外でどれだけ通用するかの試金石となるケースでもあり、不動産開発業界の注目度も高い。

 5月14日に発表された新中期経営計画(15-17年度)では都市再開発事業推進、オフィスビル・商業施設・物流施設事業の強化、ホテル・リゾート事業の拡大など全方位型の成長戦略で総合デベロッパーとしての事業基盤強化を目指している。海外の都市再開発事業に乗り出したのもその一環だ。新中計では、海外へ前中計実績の約3倍になる5500億円を投資して1000億円を回収。このシナリオで海外事業の利益を120億円(14年度実績)から300億円以上(17年度目標)へ、その利益比率を6.4%から12%程度へ一挙に引き上げる計画を打ち出している。

 三井不動産としてはロンドンの2つのプロジェクト成功で、海外でも存在感を高めたい考えでいるのは明らか。今のところ、国内事業はいずれの事業部門も不安材料が見当たらない。それだけに地形、土質、商習慣など事業環境のすべてが異なるロンドンで、日本流の都市再開発事業が通用するのか。

「これがもし失敗すると、海外戦略は練り直しを迫られ、不必要な不安材料を投資家に与えるきっかけになる」(証券アナリスト)

 このまま不動の業界首位だった三菱地所を一気に引き離すのか。三井不動産に対する注目が高まっている。
(文=福井晋/フリーライター)

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