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「ココロに効く(かもしれない)本読みガイド」山本一郎・中川淳一郎・漆原直行

ネット炎上は、すぐ忘れられるので恐れる必要はない 難しい「スルーor謝罪」の見極め

文=山本一郎
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 また、ネットの中で愛されてきたはずの企業が、ちょっとしたきっかけで炎上に巻き込まれるケースもさまざまあります。それも、自信を持って提案したはずの新サービスや、良かれと思って公開した動画がきっかけとなって、思いもよらぬ炎上に見舞われるのは、日常的なことです。

 そういう炎上ネタをめぐっては、炎上自体をサーチし見物に来るウォッチャーと呼ばれる謎の人種も多く存在し、炎上の理由や経緯を見て良し悪しをチェックし、琴線にかかるものは拡散して、さらに多くのネット住民が炎上した経緯を見にやってくるという好循環が発生してしまうわけです。

 本書でも基本的なことはしっかり網羅されておりますが、個人的にはネットの炎上をしたりされたりする中で経験として学んだことは、自分なりの誠実な活動を続けていけば「炎上しても、たいていは忘れられる」という事実です。つまり、あまり炎上すること自体を恐れる必要はないということです。堂々と自信を持ってネットでコミュニケーションし、悪いと思ったらさっさと謝り、たいした話でなさそうならスルーしつつ、行き過ぎた攻撃は発信者情報開示請求をして個人特定を行い粛々と訴えながら、このネット社会に根を下ろし暮らしていくのだと腹を括ることだと思います。

 突き詰めれば、こちらも人、相手も人であって、ネットである以上はいろんな人がそこにいます。まともな人もいれば、そうでない人もいます。ネットの特性としてまともな人だけ相手にするのが難しい以上、まともでない人に絡まれないよう隙をつくらないことが、企業におけるネット炎上対策の最重要課題であると、本書でもきちんと書かれていてお奨めです。

押し引きのタイミング

 野次馬として一言書くとするならば、やはり炎上は面白いです。真面目にやっている人同士が相対しているのは、将棋や野球のようなスポーツに近い楽しみ方があります。一方で、物事は絶対にどちらかが正しいということはなく、必ずあるべき落としどころが存在するものです。

 一番いけないのは、アツくなりすぎて落としどころを見失い、いつまでもグズグズと炎上し続けることであって、たいした話でもないのにダメージがどんどん大きくなってしまいます。この押し引きのタイミングはネットに限るものではないので、うまく相手の心情を見極めながら対応されることで、炎上しても快適なネット活用ができるようになると思います。

 ぜひ本書で実例を見て、「ああ、これは私だったらこう対応するなあ」という問題意識を持ちながら読み進めていただければ幸いです。
(文=山本一郎)

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