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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

理解に苦しむ“問題”上司、どう対処?耐えるしかない?いきなりの正しい意見の主張は危険行為

文=中沢光昭/経営コンサルタント
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 親会社からの落下傘上司が、社員と馴染んで結果を出せるか出せないかを一番大きく左右するのは、姿勢だと思います。「かりそめの数年を無難に過ごせばいい」と軽く考えるか、「その会社をできるだけ良くしよう、社員の生活環境を良くしよう」と心から思っているかどうかという姿勢の違いが、最も大きいです。

 その姿勢を見分けるポイントは、具体的な議論にどれだけ踏み込んでくるか、現場の仕事にどれだけ入ってくるのかという点です。ありがちなのは、「私は詳しいことは知らないから」といって方針という名の抽象的な理想論を語り、「なんでもホウレンソウしてきて」と言って待ちの姿勢を取る上司です。報告をした場合にちょっと気に入らないことがあったとしても、それを解決するための方策がわからないため、抽象論を語って押し返すだけになります。部下としては無駄足が多くやりにくい状態ですが、それでも基本的には耐えるしかありません。

あなたがエースの場合

 自分が会社(部署)のエースという存在の場合、落下傘上司との接点は最も多くなります。部署の方向性についてあれこれ話していると、意見の食い違いは多かれ少なかれ必ず出てきます。その際に、最初から「過去はこうしていた」「うちのビジネスはこうなんだ」と言い張ってしまうのは、非常に危険です。仮に部下である自分の言うことが正しかったとしても、上司は意地を張ってでも自分の意見を認めさせたいという感情のほうが強くなりがちであるため、悪い心証だけが残ってしまうリスクがあります。もちろん、きちんと耳を傾ける上司もいますが、やはり人間は感情の生き物ですので、ネガティブに感じてしまう人のほうが多いです。

 自社内での経験を盾にして主張するのは、落下傘上司のことをよく見定めてからにしましょう。少なくとも上司が責任から逃げる気配を感じなければ、いったんは従ってみることです。やってみなければわからないことを、やる前から色々と具申するのは、逆効果になることが多いです。責任はどちらが重いのかを理解することです。

 ただし、あとからトカゲの尻尾切りに遭ってしまうことは避けなければなりません。そのため、後戻りできないような方策や方針を示してきた時だけは反論するようにしましょう。まずは2人で話し合ってみましょう。それで理解してもらえば事なきを得ますが、もしも取り付く島がなかったり、あまりにも自分の意見がないがしろにされるようであれば、他の人も同席しているところでやんわりと意見を言い、それに加えて、自ら会議の議事録係を引き取るくらいのことをして、「そのリスクを踏まえた上で、~に踏み切る」という記録を残しておくことです。あとで命拾いをしたりすることもありますし、落下傘上司も軽々しく今までのやり方を全否定するようなことはなくなるかもしれません。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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