日米貿易摩擦の真っ最中でもあり、通商問題に飛び火。アメリカは東芝製品を輸入禁止とし、約3兆円の損害賠償を求めた。ワシントンDCの連邦議会議事堂の前で議員が東芝のラジカセを叩き壊すパフォーマンス映像がニュースで繰り返し流れた。その後、88年4月に成立したアメリカの包括貿易法では、東芝機械、東芝からの政府調達を3年間禁止する「東芝制裁条項」が盛り込まれた。

 事後の対応でも東芝は批判される。「東芝と東芝機械は別法人」を主張して制裁措置を解除してもらう目的で、連邦議会に対して活発なロビー活動を展開。主張はある程度は認められ東芝への制裁は解除されたが、ロビイストの人数を増やして多額の活動費用を投下する「物量作戦」が問題視され、アメリカでロビー活動への規制論議が高まった。

 28年前は決して遠い昔ではない。12人の陪審員を代表し話し合いをリードする陪審長になりそうな50歳以上の人は「TOSHIBAは昔、連邦議会でもめた」ことを覚えているだろう。ましてや裁判が開かれるカリフォルニア州は、冷戦時代には軍需産業の中心地として経済が潤った土地柄。「敵のソ連を利した日本企業」では、イメージは良くない。

 東芝は経営トップが不正を認めて辞任したので、勝訴できる見込みはほとんどない。16年前と同じように陪審員を恐れ、陪審裁判を避けたいと高額な和解金支払いをのむのだろうか。業績へのダメージがどれぐらい出るのか不透明だが、アメリカでのクラスアクションの今後の行方は気になるところだ。
(文=寺尾淳/ジャーナリスト)

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