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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」

大塚家具、すべてシナリオがあったかのような急回復 類いまれな経営継承の成功事例

文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO
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今後の課題

 第一ラウンドの株主総会では勝利を収め、お家騒動を逆手に取って短期間でイメージチェンジに成功した久美子氏だが、すでに第二ラウンドは場所を法廷に移して裁判での争いが繰り広げられている。

 訴状などによれば、勝久氏保有の大塚家具株の一部130万株を大塚家の資産管理団体に譲渡する際、15億円の社債が発行され、勝久氏がこの社債を引き受けた。この社債が期日を過ぎているにもかかわらず未償還になっているという。また、勝久氏は、13年10月に資産管理会社が保有する大塚家具の株189万株の名義が久美子氏に変更されたことに対しても、無効として返還を求める訴えも起こしている。

 この裁判もメディアで大々的に報道され、大塚家具は引き続き父娘の争いで世間の耳目を集めたが、いつまでも親子の泥沼の争いが続くようだと、世間にそっぽを向かれかねない。早期に裁判の決着をつけ、イメージ回復に取り組まなければ、せっかくうまくいった経営権のバトンタッチが水泡に帰す可能性も高まってくるだろう。

 勝久氏も内輪のゴタゴタで顧客が離れ、業績が悪化して株価が急落することは本意ではないだろう。娘との裁判は、今やお金の問題ではなく“クーデター”で経営権を奪われた個人的な怨みを晴らすという、自身のプライドを懸けた争いの様相を呈している。

 では久美子氏は、傷つけられた創業者である勝久氏のプライドをどう回復し、矛先を収めさせればよいのか。

 例えば、これまでの功績をたたえる意味で最大級の評価に基づいた退職金を約束したうえで、株価が高騰しているうちに勝久氏の保有する株式350万株を市場外で買い取り、勝久氏とが共に大塚家具を去っていった社員と新たな事業を開始するためにようであれば、十分な資金を提供するなど、最大の敬意を表した対応が必要不可欠だろう。

 このまま泥沼の争いが続くようであれば、再び顧客に愛想を尽かされ、顧客離れが加速する事態も想定できるだけに、久美子氏にはまだまだ難しい舵取りが求められる。
(文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO)

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安部徹也(あべ・てつや)

株式会社 MBA Solution代表取締役CEO。1990年、九州大学経済学部経営学科卒業後、現・三井住友銀行赤坂支店入行。97年、銀行を退職しアメリカへ留学。インターナショナルビジネスで全米No.1スクールであるThunderbirdにてMBAを取得。MBAとして成績優秀者のみが加入を許可される組織、ベータ・ガンマ・シグマ会員。2001年、ビジネススクール卒業後、米国人パートナーと経営コンサルティング事業を開始。MBA Solutionを設立し、代表に就任。現在、本業にとどまらず、各種マスメディアへの出演、ビジネス書の執筆、講演など多方面で活躍中。主宰する『ビジネスパーソン最強化プロジェクト』には、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、無料のメールマガジンを通してMBA理論を学んでいる。

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