クリティカルケア(救急救命医療)事業はゾールを核に展開しているが、14年3月期はのれん等の償却負担を吸収できず、35億円の営業赤字だった。15年3月期の売上高は前期比38%増の1106億円と大きく伸びた。事業利益は176億円となり、償却額135億円(のれん代の償却79億円、無形固定資産償却56億円)を上回り、差し引きで41億円の営業利益を計上して黒字に転換した。

 その自信からか、2600億円を投じるポリポアの買収は、のれん代の額は大きいものの3年後には収益に貢献すると、強気の見通しを立てている。

車載用電池へ本格進出

 ポリポア買収の最大の注目点は、旭化成が車載用電池に本格進出するということだ。ポリポアはガソリン自動車やフォークリフトに積まれる鉛電池用と、電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池用の2つのタイプのセパレーター(絶縁材)を手掛ける。旭化成の狙いは車載用リチウムイオン電池だとみられている。

 旭化成はリチウムイオン電池のセパレーターに力を入れているが、主力は民生用セパレーター。電気自動車(EV)の普及が足踏みしていることから、車載用リチウムイオン電池用には、これまで慎重だった。今回、リチウムイオン電池のセパレーターの中でも、車載用に強いポリポアを買収することで、成長が期待されるハイブリッド車(HV)やEVなど車載用電池に本格的に参入することになる。

 車載用電池の世界市場は、14年(暦年)の4309億円から20年には1兆4949億円と3.4倍に拡大すると予想されている(矢野経済研究所調べ)。HVの販売拡大のほか、電池容量の大きいプラグインハイブリッド車(PHEV)とEVの普及が市場拡大のポイントになるとしている。

 リチウムイオン電池は、自動車の燃費性能を左右する基幹部品となった。トヨタ自動車など国内自動車メーカーは、パナソニックなどの電池メーカーと提携して開発競争を繰り広げている。車載用リチウム電池は日本企業がトップシェアを誇るが、携帯電話用など小型リチウム電池ではサムスン電子やLG電子など韓国企業に押され、逆転を許している。車載用電池でも低価格で攻勢をかける韓国勢に、シェアを奪われる可能性が指摘されている。

 ポリポア買収により、車載用リチウムイオン電池に本格的に進出する旭化成。まずは大手自動車メーカーに直接納入する実績をつくれるかどうかが、同事業の将来性を占う試金石となる。
(文=編集部)

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