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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

イオン“革命的PB”トップバリュ、超高品質を実現する驚愕の秘密!10万人モニター調査

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

 しかし、筆者にとって、プレミアムPBの誕生は理解に苦しむものでした。

 通常のPBであれば、メーカーの力を借りながら商品の企画・開発が可能でしょうが、いかにしてモノづくりに関する技術力のない小売業者がプレミアムPBに取り組んでいるのでしょうか。

 また、プレミアムPBが市場に投入されているということは、当然のことながらメーカーが製造を引き受けています。しかし、プレミアムPBは自社NBと同等、時にはそれ以上の品質を小売業者から要求されるため、自社NBとのカニバリゼーションがさらに深刻化するのではないでしょうか。

 そもそも、PBのほうが自社ブランドを冠したNBよりも高付加価値となると、メーカーとしてのアイデンティティはどうなるのでしょうか。

 このように考えると、メーカーが小売業者からのプレミアムPB製造要求に応える理由がわかりませんでした。よく指摘されているように、小売業者からの要求を断ると、NBの取り扱いを制限されるといったパワー関係が背景にあり、引き受けざるを得ないということかもしれませんが、ほかにも何か理由があるのではないでしょうか。

トップバリュの秘密

 こうしたプレミアムPBの実態を確認すべく、イオン本社近くの幕張メッセでトップバリュ展示会が開催されているのに合わせ、会場でインタビューを実施しました。会場に向かう間、ずっと「トップバリュ展示会とは何か」と頭の中が混乱していました。NBの展示会なら小売業者向けと察しはつくものの、小売業者自身が企画するPBの展示会の対象は誰なのか、一般の消費者もしくはイオンが抱えるモニター向けなのでしょうか。

「トップバリュ商品の開発は、トップバリュ株式会社が担当しており、実際にこうした商品を店頭に置くか否かは一部の基本ラインを除き、各店舗の裁量によります」(イオン担当者)とのことでした。つまり、同じグループ内でも、開発された商品が自動的に店頭に並ぶといった甘えは排除される仕組みになっているわけです。よって、トップバリュ展示会は商品を開発したトップバリュ株式会社が、採用を決定する各店舗の代表者に向けて実施しているのです。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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