
7月9日付当サイト記事『失業手当をもらえない!空前の黒字の雇用保険積立金、給付率カット&非正規労働者排除』で、雇用保険の積立金(失業給付関係)が、史上空前の水準である5兆9000億円にも膨れ上がっている背景についてレポートした。
東京オリンピックのための新国立競技場の建設費が2500億円にも上ることが激しい批判を浴びて計画が白紙撤回されたが、雇用保険財政には、その新国立競技場を23カ所建設しても、まだ1000億円以上のおつりがくるほどの巨額資金がプールされている。
それにもかかわらず、雇用保険制度本来の目的であるセーフティネット機能強化の動きはまったく見られない。昨年4月の法改正では、再就職手当や育児休業給付の増額等、「失業して困っていない人」に対する給付ばかり上積みする、おかしな施策が取られただけである。
保険料を下げればよいと思われるかもしれないが、労働者負担は給与の0.5%とかなり低く抑えられている。全国健康保険協会管掌の健康保険が約5%であることと比べると、雇用保険の保険料がいかに安いかがわかる。
雇用保険を有効活用する方法
そこで今回は、毎月の給与から納めている雇用保険料を、必要になったときに最大限有効活用するための方法を検討したい。
意外に思われるかもしれないが、数ある雇用保険の給付金の中でも、最もオトクなのは、再就職手当である。
所定給付日数の3分の1以上を残して再就職した人には、支給残日数の50%(3分の2以上残して再就職なら60%)を、「お祝い金」のようなかたちで一括支給してくれる制度だ。これにより、「退職後すぐに再就職しても決して損はしません」「失業手当を当てにせず、退職当初から一生懸命に就職活動しましょう」とのアナウンス効果を狙っているわけだ。
実は、この再就職手当は、「保険」と名のつく制度の中でも、他に類を見ないほど特異な存在なのである。何が特異かというと、「幸せな人にお金が入る」点である。