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ソニーは「つまらない会社」に成り下がったのか 「遺産相続」ではなく「新しい財産」を築け

文=長田貴仁/岡山商科大学教授(経営学部長)/神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー
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「ああ、つまんなかった。来なければよかった」

 ある評論家がソニーの2015年4~6月期連結決算発表会(7月30日)の直後に、同社関係者に向けて発した一言である。副社長兼CFO(最高財務責任者)らが多忙な中で貴重な時間を割き、長時間にわたり決算概要について説明したのだから、同社関係者は「そんなことを言われる筋合いはない」と思っているかもしれない。だが、こういった感想を持つ人も少なくないという事実を、真摯に受け止めなくてはならないのではないか。

 では、何が「つまんなかった」のか。その答えを述べる前に、同決算内容を概説しておこう。

 売上高が前年同期比0.1%減の1兆8080億円、営業利益が38.8%増の969億円、最終利益は約3.1倍の824億円と減収増益だった。16年3月期業績予想は据え置いたものの、最終利益は08年3月期の665億円を超え、4~6月期として過去最高を更新した。

 その主要因は、営業利益が前年同期の2倍超の303億円となったスマートフォン(スマホ)向け画像センサーを含むデバイスやゲーム機「プレイステーション(PS)4」の好調、オリンパス株の売却益468億円などの上乗せ、コスト削減効果などである。平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)になってから主力事業にすると息巻いていたものの、量を追わない路線に転換したスマホ事業は229億円の営業赤字となり、年間販売台数見通しも期初の3000万台から2700万台に引き下げた。

 吉田憲一郎・副社長兼CFOは、「昨年、平井が打ち出した『やりきる構造改革』の効果自体は出てきているが、収益力回復という点では、まだまだ課題が残る」と語り、「スマートフォンの構造改革自体が1年遅れている」ことや「為替の影響を受けやすく、ドル高に対して非常に弱い体質のまま」であることを認めた。

 また、6月に公募増資3017億円、転換社債1200億円により、総額4200億円を調達すると発表した。この狙いについて、吉田氏は「(イメージセンサーなどを中心に)成長に向けた投資資金を確保するだけでなく、毀損した財務基盤を強化するため」と説明し、「やりきる構造改革」から、成長投資と利益創出のフェーズに移り、持続的に高収益を創出する企業への変身を強調した。

何が「つまんなかった」のか

 ここまで決算発表の内容を読むと、少しばかりはソニーの製品名が出てきているので、同社に関する内容であることは誰でもわかる。しかし、これらの製品名を外せば、どこの企業であってもいいような報告だ。CFOによる決算説明であるからして、仕方ないといえばそれまでだが、それにしても無味乾燥で「モノづくりを捨てていないソニー」の熱い思いが伝わってこない。

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