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東芝、偽りの経営刷新 不正会計を見逃した取締役が陣頭指揮 跋扈する「老害」相談役

編集部
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東芝、偽りの経営刷新 不正会計を見逃した取締役が陣頭指揮 跋扈する「老害」相談役の画像1東芝前社長の田中久雄氏
 不正会計問題に揺れる東芝相談役の西室泰三氏(日本郵政社長)は7月21日夜、首相公邸で開かれた座長を務める「戦後70年談話に関する有識者会議」メンバーの夕食会で、安倍晋三首相にこう告げたと伝えられている。

「東芝は(私が)責任を持って再生させます」――

 今回の不祥事は一企業の枠を超え、安倍政権の看板政策であるアベノミクスに泥を塗りかねない。西室氏は安倍首相の不安を必死に打ち消そうとした。社長・会長として長きにわたり東芝のトップを務めた西室氏は、現在でも同社幹部の間で「スーパートップ」と呼ばれるほど、強い影響力を持っている。

 東芝の不正会計問題は、今秋に株式公開を控える日本郵政グループ3社の経営にも微妙な影を落としている。日本郵政は東芝常任顧問の村岡富美雄氏を社外取締役に迎え入れようとしたが、6月26日の日本郵政株主総会当日になって総務省から待ったがかかった。東芝の不正会計を調査する第三者委員会の調査報告書に、東芝の財務担当副社長だった村岡氏の名前が挙がり、村岡氏は就任を辞退した。「西室氏は身内の元役員を社外取締役に起用する人事案を、もっと早い段階で断念すべきだった」(関係筋)との批判の声も聞こえる。

 西室氏は7月22日の日本郵政社長会見で東芝の不正会計問題に触れ、「あんなことはあってはいけない。非常に大きなショックを受けた」と述べ、新しい経営陣選びについて「企業統治を立て直せる弁護士、公認会計士」などを選択肢に挙げたのである。歴代3社長の引責辞任については、「早く結論を出した」と評価した。さらに、辞意を漏らしていた室町正志会長に「残るほうがつらいかもしれないが、あなたに期待する」と西室氏が話し、社長を兼務するよう説得したことを明らかにした。

 ある東芝幹部は、「今回社長を辞任した田中(久雄)さんは、頻繁に西田厚聰相談役の部屋を訪れていた」と証言する。同社には相談役と顧問が計17人おり、西室氏が名実ともに筆頭だ。相談役は社長や会長らと同じ階に個室を持っている。岡村正相談役(元日本商工会議所会頭)と西田氏は毎日出社し、西室氏も日本郵政上場を間近に控えて超多忙にもかかわらず、週に何回かは東芝本社を訪れ社長や会長に助言していたという。そのため、「歴代3社長だけでなく、西室氏、岡村氏も辞めるべきだった」(東芝関係者)との指摘も多い。

 東芝の内規では、相談役は80歳まで。社長経験者で相談役を退いた渡里杉一郎、佐藤文夫の両氏が特別顧問に就いている。副社長経験者以上は常任顧問、執行役常務経験者以上が顧問である。近年、年齢や期間に制限が設けられ、現在常任顧問は4人、顧問は8人の合計12人である。

 1987年に発覚した東芝機械ココム違反事件に連座して、親会社である東芝の佐波正一会長、渡里杉一郎社長(共に当時)の2人がそろって辞任したことが、その後の東芝のトップ人事を狂わせた。渡里氏が1年で社長を辞めていなければ、西室氏が社長になることもなかったといわれている。

BusinessJournal編集部

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