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山田修「展望! ビジネス戦略」

超優等生・花王の怠慢 P&Gとの「ケタ違い」の差を生んだ「やる気のなさ」

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 花王は日本を代表するBtoCの企業であり、トイレタリー市場における製品力や開発力にはP&Gも一目置くほどである。つまり、製造業として極めて優秀な企業だ。加えて、パッケージ・グッズのマーケティングに関しては、日本を代表する企業として名望をほしいままにしてきた。企業規模や財務の点でも申し分のない一流企業だ。

 では、その花王がなぜ世界市場ではP&Gの後塵を拝しているのか。

 それは「やる気がなかったから」ということに尽きる。P&Gと同様に日用品である化粧品のメーカー、資生堂の海外売上高比率は55%に達している(15年3月期)。

 筆者は7月末にスペインを周遊した際、「世界で一番美しい村」といわれるモンテフォリオを訪れた。寒村の裏道に車が入るなり、この村唯一の大看板に圧倒された。「SUZUKI」のロゴが大きく眼に入ってきたのだ。

 スズキをはじめとする多くの日本企業にできた、自社製品を世界中にあまねく供給するということが、なぜ花王にできないのか。それは、その覚悟が花王になかったとしか考えられない。他業界の一流企業が持っているのと同等、あるいはそれ以上に強大な経営資源を有しているのが花王だからである。

 花王の歴代社長には、マーケティングの成功者、名経営者として讃えられている人も複数いる。しかし筆者には、せっかく経営資源を有しているのに世界へ出て行こうとしなかった、勇気と戦略に欠けた「怯懦の系譜」にしかみえない。易々と世界市場をP&Gに明け渡してきてしまったその罪は重い。「攻撃は最大の防御」という有効戦術を海外で発揮してこなかった花王は、近いうちにP&Gが伸ばしてきた爪を首筋に感じることになるかもしれない。

 次稿では、世界を制覇してきたP&Gの成功の秘密について考察する。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

撮影=キタムラサキコ
●山田修(やまだ・おさむ)
経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。

「有限会社MBA経営 公式サイト」
http://senryaku.p1.bindsite.jp/
「山田修の戦略ブログ」
http://yamadaosamu.blogspot.com/


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