東京証券取引所(「Wikipedia」より/Chris 73)
さらに新規事業を展開していくことも明らかにしたため、株価急騰はその期待感を反映したものと思われるが、実際にはまだ不透明な要素もある。
とりあえず債務超過は解消
そのためピクセラは、14年12月には総額1億2000万円の増資を実施したものの、これで一気に債務超過解消とはならず、今年3月末時点でもまだ4900万円の債務超過状態だった。残りは15年9月期の利益確保により解消するという計画だったが、この肝心の業績予想を今年7月に下方修正した。期初には通期で1億3000万円の最終黒字を予想していたが、2000万円に下方修正。これでは債務超過解消には足りないため、なんらかの施策が必要な状況となっていた。
こうしたなかで、今回の増資と新株予約権発行が決まった。ただ、本当に今期業績が4年ぶりの黒字確保を果たすかは極めて流動的。加えて、昨年4月に発行した社債4億円弱について、この8月から分割で繰り上げ償還することも同時に決まっており、資金面では一気に余裕ができたというわけには到底いかない。なお、社債の前倒し償還は今年8月から毎月1600万円余、ほぼ向こう2年間となっている。
増資資金3億円でとりあえず債務超過は解消する見通しだが、来期になってさらに資金は不足する事態になることも想定され、新株予約権の行使は当然ながらOakキャピタル側にあるが、資金が不足すればピクセラ側から行使を依頼する状況もあり得るだろう。
過去には業績急拡大と急降下も
そもそもピクセラという会社は、開発型のメーカーである。MPEG技術を使ったテレビキャプチャー、テレビ用デジタルチューナー、そして液晶テレビなどへと製品展開を続けてきた。製品は自社では開発のみを行うファブレスで、実際の製造は外部に委託している。
1982年に堺システム開発として創業し、97年に現社名に改称、02年12月に東証マザーズへ上場し、さらに04年9月にはマザーズから東証1部に上場。そして債務超過により今年から東証2部となっている。
過年度の業績でみると、液晶テレビで躍進した時期もあった。09年末に液晶テレビ市場に再参入したことにより10年9月期は売上高が対前期比で2.3倍、利益も実に6年ぶりに黒字を確保するという大躍進を遂げ、続く11年9月期も売上高が対前期比35%増、利益も引き続き黒字確保で2ケタ増益を達成する続伸経過だった。