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清水和夫「21世紀の自動車大航海」(8月19日)

トヨタの環境車技術、世界中のメーカー間で争奪戦か

文=清水和夫/モータージャーナリスト
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FCV争奪戦が起きる可能性も

 スバルを展開する富士重工業も、マツダと似たような状況にある。富士重工業は、10キロワットという小さなモーターをCVT(無段階変速機)に内蔵したハイブリッドシステムしか持っていない。同社の主力市場は、カリフォルニアとZEV規制を批准するその他の10州だ。

 ZEV規制対策として、富士重工業はトヨタFCV(燃料電池自動車)が欲しいはずだ。マツダと富士重工業にとっては、トヨタがMIRAIの次に販売するFCVのOEM(相手先ブランド製造)供給を受けるのが手っ取り早い。同様に、BMWもトヨタのFCVを魅力的に感じているのは間違いないだろう。

 ZEV規制では「クレジット」と呼ばれる係数が決められ、販売台数に対して達成すべきクレジット基準が定められている。18年以降の新ZEV規制では、BEV(バッテリー式電気自動車)よりFCVのほうが優遇される。300マイル以上の航続距離があるBEVのクレジットは1.5ポイントに対して、350マイル以上の航続距離があるFCVには4ポイントも与えられるのだ。

 これは、ZEV規制を批准するほかの10州でも同じだ。しかも、新ZEV規制では、ほかの州で販売したゼロエミッション車の台数を、カリフォルニアの台数に加算できる「トラベル条項(Travel Provision)」があるが、これはFCVだけの特権である。

 この新ルールによって、トヨタや本田技研工業の周辺では「FCV争奪戦」が起きるかもしれない。マツダとトヨタの技術提携の背景には、そんな“お家事情”があるとにらんでいる。
(文=清水和夫/モータージャーナリスト)

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