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セブン争奪戦、三井物産と伊藤忠の間で密かに激化か 三井、4位転落の危機

文=編集部
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 国分は、かつては不動の1位だったが、三菱商事系と伊藤忠系の合併・再編が進み3位に転落し、どの商社と組むかが業界の関心事だった。

 そこで有力視されていたのが、三井物産である。07年、国分は三井物産傘下の三井食品が北海道で苦戦していたため、北海道の事業を引き取った。こうした経緯もあって、国分は三井物産と提携すると見られていたのだ。しかし、三井物産は国分に出資を打診したが、商社の経営関与を嫌う国分に断られ、両社の関係は冷え込んだ。

 間隙をぬって接近したのが丸紅だ。国分が丸紅傘下の菓子卸最大手、山星屋(大阪市)と冷凍食品卸のナックスナカムラ(同)に出資し、一方、丸紅は国分が新設する首都圏の営業を担う子会社に資本参加するという提携内容だった。

 国分にしてみれば、三菱商事、三井物産、伊藤忠に比べて、丸紅は乗っ取られる脅威が低い。実際、丸紅は13年に出資したダイエーの株式をイオンに譲渡し、スーパーの経営から撤退している。

 業界5位の三井食品しか系列を持たない三井物産は、国分という大きな魚を取り逃がしてしまった格好だ。

セブンに接近

 食品流通分野の川下は再編が進み、イオン、セブン&アイ・ホールディングス(HD)、西友を展開するウォルマート・ジャパンHD、中小スーパーの共同仕入れ機構であるシジシージャパンの4グループに収斂しつつある。その結果、商社と小売りの力関係が逆転した。総合商社や卸は小売りから選ばれる時代になったのだ。

 いまや川下の主戦場はコンビニである。三菱商事はローソン、伊藤忠商事はファミリーマートを子会社として持っている。さらにファミマはユニーグループ・ホールディングスと16年9月に経営統合する方向で交渉しており、まとまれば業界4位のサークルKサンクスを系列に組み入れることになる。

 次のターゲットとなるのは、独り勝ちといえるセブンである。

 セブンの親会社であるセブン&アイHDには、三井物産が1.8%出資している。三井物産とセブンのビジネスの発端は1983年、セブンの弁当工場に弁当容器を納入したことに始まる。三井物産はコンビニの店頭に商品を運ぶ物流会社も経営しており、セブンのマークをつけたトラックも保有している。また、中国・重慶のセブンの11店舗は、三井物産が直接運営している。

 ローソンへの食品卸は三菱食品が、ファミマは日本アクセスなど伊藤忠系の食品卸が独占している。他方、セブンはどこの企業も独占していない。もともとセブン&アイHDは伊藤忠系との取引が多かったが、伊藤忠がファミマを買収したことから、セブン側が伊藤忠を敬遠するようになった。伊藤忠の丹羽宇一郎社長(当時)とセブン&アイHD総帥である鈴木敏文氏の流通・小売りに対する考え方の違いも大きかったようだ。

 そんなセブンが新たな主力商品として展開しているドーナツの小麦粉は、伊藤忠子会社の昭和産業から調達した。伊藤忠が資本・業提携して筆頭株主となったタイ財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループは、タイでセブンを7600店展開する最大手だ。つまり伊藤忠は、からめ手からもう一度セブン攻略の橋頭保を築こうとしているのだ。

 三井物産がセブンの支援事業を強化する裏には、伊藤忠の浸食を撃退するという隠された理由がありそうだ。
(文=編集部)

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