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スタバ、成功の秘密は「セブンの真似」だった!「想定通り」の千店舗達成

文=梅本龍夫/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授、経営コンサルタント

ブランドの確立と店舗拡大のジレンマ

 ただし、サザビー側は、単純に店舗を増やし続けようとするスターバックスの発想に疑問がなかったわけではありません。ファッションビジネスは、ブランドの希少性やプレミアム感を大切します。そのため、出店場所と店舗数には徹底してこだわります。「商売をもっと広げたい」という商人の本能にあらがい、「とどめを打つ」タイミングや規模の判断が、ブランドの長期的な価値を大きく左右することを経験的に知っていたのです。

 スターバックス側もブランドの価値には人一倍強いこだわりを持ち、自分たちの店舗を「スターバックス体験」の場と見なしていました。「最高のコーヒー、フレンドリーなバリスタ、洗練された店舗環境」が三位一体となり、「とびきり居心地のよい場所」となる。そんなコミュニティの核になることこそ、「スターバックス体験」の意味することだったのです。

「スターバックス体験」にこだわれば、そんなに店舗数は急速に増やせないはず。そこでサザビーの経営企画室は、自分たちのブランドビジネスの経験と日本のマーケット分析をふまえて、「300店舗」という中間ゴールを提案したことがありました。

 それに対するスターバックス側のリアクションは、「スターバックス体験のない店舗はスターバックスじゃない。しかし、店舗拡大を優先しなければ競合に良い場所を取られ、スターバックスは市場から駆逐されてしまう。店舗を出せなければ、スターバックス体験にこだわる理由もなくなる」として、店舗拡大を最優先課題に挙げました。

 サザビーが得意としてきた衣食住のライフスタイルは、ブランドのファンとなってもせいぜい週1回程度しか来店しない業態でしたが、スターバックスは毎日店舗を訪れてくれるファンの獲得を狙っていました。コミュニティの「サードプレイス」、つまり家(ファーストプレイス)と職場や学校(セカンドプレイス)の中間にあって、一日の疲れを癒し、元気を取り戻す場所となることが目的なのです。

 毎日でも通いたくなるサードプレイスを全国津々浦々まで、できるだけ早く出さないと競合に負けてしまう――。そんな未知の業態を展開していくには、サザビーが従来手がけてきたブランドとは違うビジネスモデルを模索する必要がありました。

『日本スターバックス物語--はじめて明かされる個性派集団の挑戦 』 日米のカリスマ経営者たちが組んだ最強タッグの知られざる舞台裏を、日本でのスターバックス立ち上げプロジェクトを担った著者が綴る amazon_associate_logo.jpg

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11:30更新
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