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だらだら長く働く「残業自慢」人間は、35歳以降に必ず痛い目に遭う!

文=城繁幸/人事コンサルタント
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だらだら長く働く「残業自慢」人間は、35歳以降に必ず痛い目に遭う!の画像1「Thinkstock」より

 新国立競技場計画が迷走しています。同計画は特別にスケールの大きい話ですが、似たようなケースは日本型組織にはつきものだというのが筆者の意見です。

 霞が関では、内閣が代わるたびに財務省や経済産業省、厚生労働省といった省庁がそれぞれの官僚を官邸に送り込み、政権運営の主導権を握るための壮絶な縄張り争いが勃発します。それで日本が良くなれば別にいいのですが、むしろ日本国よりも各省庁の省益が優先されているように見えることが少なからずあります。

 バブル崩壊から24年ほどたちますが、日本の経済が足踏みし、借金だけが膨らみ続けたのは、彼ら官僚が内向きの“社内政治”を続けたことも一因ではないでしょうか。今回の新国立競技場の一件は、あらためてそのことを思い起こさせてくれたように思います。

 この社内政治という視点は、個人のキャリアを考える上で、とても重要です。筆者は常々「社内価値よりも市場価値を重視するのがキャリアデザインの基本中の基本です」という話を各所でしていますが、社内政治こそ社内でしか価値を持たないスキルの筆頭であり、「キング・オブ・社内価値」といっていいからです。

社内政治の典型と対処法

 以下は、社内政治のための業務プロセスの典型です。

・社内リスクをヘッジするための複数回に及ぶ会議

 これは日本企業ならどこでもほぼ100%存在するといっていいでしょう。いっぱい会議をやるメリットはズバリ、いろいろな役職者が参加することで、後から「俺は聞いてない」「俺は反対だった」などと言われることを防ぐためです。

 某大手国内ITベンダーと外資系企業の共同プロジェクトが大コケした際の出来事です。外資側が責任者の首を切ったのに対し、日本側は誰一人責を問われていないことに不信感を持たれました。そして「なぜ御社は誰も処分しないのですか?」とただされ、「我が社にはそうした文化がないのです」と返して以降、関係断絶になったという笑い話もあります。複数回の会議は、それくらい従業員の個人リスクをヘッジできるすごい制度なのです。

・社内的存在感を体現するために茶々を入れる

 これも、お役所や大企業ならではの風物詩といっていいでしょう。課長→部長→事業部長とプレゼンするうち、課長に指摘されて修正した内容が事業部長に再度指摘をされて元に戻るということはよくある話です。このような複数の人物による審査は、はっきり言って時間の無駄です。最初から最終決定権者の判断でプロジェクトを進め、失敗した場合にはその責任者と担当者の査定を下げればいいだけですので、飛ばせるものなら飛ばしたほうがいいです。

 ちなみに筆者は、できうる限り最初から部課長同席の上で最終決定権者に話を通すよう根回ししていました。根回し自体はすごく大変でしたが、それで無駄な工数は随分と省けた記憶があります。

 一度、あまりにもしつこく茶々を入れてくる部長に腹を立て、「部長、エクセルのデータ一式をメールに添付するので、文句あるならご自身で直してください」というメールを送りつけて勝手に帰ったことがあります。こういうラフプレーは、すでに転職先が決まっているくらいの人にしかおススメしません。

・社内実績をつくるための時間外労働

 これも意外に多いです。「一定の時間外労働は、組織のために必須と見なされているので、仕方なくアリバイ的に残業している」という人は、特に大企業には今でも一定数いると思われます。

 この先どういうキャリアプランなのかによりますが、実際にそういうカルチャーがあるのなら、付き合い残業も仕方ないかもしれません。ただ、業務を薄く引き伸ばしてだらだら残業することはおススメしません。「本日の業務は17時半までに終了させ、それから2時間は担当拠点と取引のある全派遣会社と取引実績をまとめて課題を洗い出す」といった具合に、自分でプラスアルファの目標を設定して時間を有効に使います。

「そんなことをしても、疲れるだけじゃないか」と思う人もいるでしょう。しかし、目標を区切ってがんばるほうが精神的に楽です。目標なしにだらだらと仕事をするほど、時間の流れは遅くなるものです。

 何より、だらだら長く働く習慣を身につけていると、35歳以降で必ず痛い目を見ることになります。現在、多くの企業で裁量労働制が採用され、30歳以降の主任クラス(係長やリーダーなど)になると、時間ではなく成果で働くことを求められるケースが増えています。政府の労働時間に関する規制緩和で、この先さらに増えるはずです。

 もちろん、建前上は「どのように働くかは本人の選択次第」となっていますが、実際には幹部候補と評価されるためには、裁量労働できっちり成果を上げられることが必須条件です。

 筆者の経験上、30過ぎでもだらだら働く習慣が身についてしまっている人は、裁量労働の対象となった瞬間に存在感が消えます。本来、ビジネスパーソンとしては在席時間の長さではなく業務の質で勝負しなければならないのに、そういうトレーニングを怠っていたのだから当然です。30歳くらいの時点で残業自慢をしていたような人が、35歳以降にビジネスパーソンとして高いキャリアを築けた例を筆者は知りません。

 逆にいえば、上記のような社内政治を波風立てないようにうまく効率化することこそ、これからの時代に必要な「21世紀型社内政治」なのかもしれません。
(文=城繁幸/人事コンサルタント)

※本稿は、城繁幸氏のメルマガ「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」から抜粋・編集したコンテンツです。

城繁幸/人事コンサルタント

城繁幸/人事コンサルタント

 人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。

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