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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

骨粗しょう症の薬は無意味?骨が腐る危険?「寝たきりになる骨折」はこう防げ!

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

骨粗しょう症の薬の長期服用で顎の骨が腐る?

 BP製剤副作用で特に怖いのが、顎の骨が腐る副作用(骨顎壊死)です。皮膚などと同様に骨にも新陳代謝があって、骨を作る細胞と骨を壊す細胞があり、新しい骨に生まれ変わるまでにだいたい90~120日かかります。BP製剤は、この骨を壊す細胞の働きを弱めることで骨密度を上げる仕組みになっています。

 しかし、骨を壊す細胞の働きを弱めると新陳代謝の速度が遅くなり骨が老化します。特に骨の新陳代謝が活発な顎の骨の歯を支える部分(歯槽突起部)は、骨を壊す働きが弱くなると老化が顕著になります。

 そのため抜歯したあと、患部の修復ができず口腔に露出した状態になります。そうなると口の中にいるさまざまな「ばい菌」が、骨を腐らせてしまうのです。

 新陳代謝が悪くなれば、ほかの骨も修復がはかどらなくなりますから、BP製剤の長期服用者は骨折した場合、骨がつきにくくなるというデメリットもあります。

 また、大腿骨転子下骨折も起こしやすくなるのです。米国ではこれが大きな問題になり、BP製剤を長期間使用するメリットとデメリットを比較する大規模な調査がいくつか行われ、メリットに大きな疑問符が付く結果になりました。

 そのため医薬品に対する許認可権を持つ米国食品医薬品局(FDA)は、全米の医療専門職に対して次のように勧告しています。

(1)BP製剤使用中の患者に、大腿骨転子下骨折や大腿骨骨幹部骨折のリスクがあることを知らせる
(2)BP製剤を使用するメリットとリスクについて患者と話し合う
(3)5年以上BP製剤を使用している患者については、必要なのかどうか定期的に再検討する

 またBP製剤のラベルにある警告文にも、大腿骨転子下骨折や大腿骨骨幹部骨折のリスクがあることを知らせる一文が追記されました。

 米国ではBP製剤を長期服用する骨粗しょう症の患者に不整脈が頻発する心房細動が多発することも問題になっていて、1996~2013年にかけて行われたプラセボ群(偽薬を飲ませたグループ)との比較試験では、BP製剤服用者のほうがプラセボ群より心房細動が起きるリスクが40%も高くなるという結果が出ています。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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