ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
ファミコン、キンケシ、85年の阪神優勝で盛り上がれる人たちが必ず甘美に浸れる本
そう思ったところで「ありゃ、この歌、何かに似てるぞ」と思い、『We’ re not gonna take it』という歌だったよな……と思い、その曲名を入れるとTwisted Sisterの歌であることがわかり、そのオフィシャルPVの始まり方がマイケル・ジャクソンの『Black or White』にソックリだということに気づく。自室で大音量で音楽をかける息子に、頭の固い保守的な父親が激怒し、「いい加減にしろ!」と言うが、反撃を食らい父親は屋根を突き破って外に出て行ってしまうという展開だ。
『Black or White』のPVを見てみると、この冒頭の寸劇風なシーンに登場するのが映画『ホーム・アローン』の主演子役・マコーレー・カルキンである! そして父親役がどこかで見たことのあるデブだな、と思ったら、86年の日米摩擦の際に封切された日本の自動車工場の米国進出をコミカルに描く映画『ガン・ホー』に登場する、「アッサン自動車」の労働者役の男ではないか!
こういった回り道をさせてしまう本なのであった。
『ウィ・アー・ザ・ワールド』の真実
そして、冒頭の「知識」という話なのだが、私が「マジかよ! チョービックリしたんですけどぉ!」とナウなヤング風に驚いた知識を紹介しよう。いや、これは単に「オレはこんなことも知らなかったのか……」と恥ずかしくなったことである。
いや、本当に超基礎的な話なのだが、84年、スター歌手が集った「Band Aid 1984」が、アフリカの飢饉を救うべく『Do they know it’ s Christmas』を歌ったこと、U2のボノ、Wham!のジョージ・マイケル、スティングらが集ったことは知っていた。そして、『ウィ・アー・ザ・ワールド』については、『USA・フォー・アフリカ』というプロジェクト名で「Band Aid 1984」が実施したのだと思っていた。
だからこそ、『ウィ・アー・ザ・ワールド』にもジョージ・マイケルやボノが参加しているのかと思っていたのだが、完全に別物なのだ。「Band Aid 1984」はイギリス・アイルランド連合で、「USAフォー・アフリカ」がアメリカ連合である。さらには、クインシー・ジョーンズがプロデューサーで、ライオネル・リッチーとマイケル・ジャクソンに歌をつくらせたというのも知らなかった。私は勝手に「黒人であるマイケル・ジャクソンが義憤と自身の人脈からスターを集め、アフリカ支援プロジェクトを成功させた」のだと思っていた。