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懸念だらけの日本郵政上場 恐らくうまくいかないと考えられるこれだけの材料

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 コーポレートガバナンス・コードが適用された今年の株主総会では、社外取締役に厳しい目が向けられた。15年6月の株主総会では、選任時の賛成率が80%を切った社外取締役が多数出た。日本郵政が上場後初となる来年の株主総会で、西室氏と経団連OBで固めた社外取締役がどの程度の賛成票を得られるか、これが最初の関門になる。

収益力に課題

 国の保護を受けてきた国営会社の日本郵政が、果たして市場原理に対応できるのかという疑問も多い。収益力の向上が、大きな経営課題として浮上しているのだ。

 日本郵政の15年3月期のROEは3.4%、14年同期が3.7%と、合格最低水準といわれる5.0%を下回る。いかにしてROEを引き上げるかが喫緊の課題だ。

 また、15年3月期決算を見る限りにおいて、稼ぎ頭といわれている金融2社の収益力は民間大手に比べて見劣りする。ゆうちょ銀行の貯金残高は177兆円で純利益は3694億円。メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループの預金残高は153兆円で純利益は1兆337億円。ゆうちょ銀行は資金量では三菱UFJを上回っているが、利益は三菱UFJの3分1強にとどまる。

 かんぽ生命保険も同様だ。保険契約準備金は77兆円で純利益は817億円。保険料収入で日本生命保険を抜いて首位に立った第一生命保険の保険契約準備金は42兆円で純利益は1424億円。かんぽ生命は保険契約準備金では第一生命の1.8倍だが、利益は第一生命の6割弱に過ぎない。

 これは、金融2社が大量の国債を引き受けている国営の金融機関の色彩が強いためだ。ゆうちょ銀行は貸出金は2.7兆円しかないが、国債の運用は106兆円に上る。かんぽ生命も国債の運用は48兆円だ。国債に依存していることが収益力を低下させる最大の要因である。

オールジャパン体制

 上場する3社は7月に1株を30株に分割したため、最低投資金額は当初予想から大幅に下がった。幹事証券会社などの推計では、日本郵政の株価は1800円前後、ゆうちょ銀行は1200円、かんぽ生命はおよそ2700円。売買単位が100株になると3社あわせても60万円を超えないことになる。3社で100万円以内の投資額なら、NISA(少額投資非課税制度)を使える。個人投資家を多数呼び込むことができる、との思惑もあるようだ。

 日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の初回の株式売り出し額は、合計で1兆5000億円程度になる模様だ。民営化案件の初回の売り出し額としては、1987年に上場したNTT(日本電信電話)の2兆円強に次ぐ規模になる。14年1年間に新規上場した企業による資金の調達額は、合計で9800億円。郵政グループの3社は、昨年の年間調達額を上回る資金を株式市場から一気に吸い上げることになる。

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