ブラジルやロシアなどの新車市場が大きく落ち込んでいるのに加え、タイやインドネシアなど、アジア新興市場も低迷している。そしてもっとも懸念しているのが中国市場だ。株価急落や不動産価格の下落などもあって景気の減速感が鮮明になっており、中国の新車市場も先行き不透明感が増している。中国は同国内最大手の独フォルクスワーゲン(VW)の新車販売が低迷していることもあって、値引き競争が激化している。15年4-6月期の業績は過去最高となったものの、為替水準の円安による効果が大きく、連結販売台数(中国除く)は前年同期より12万台マイナスだった。

 為替水準も乱降下し、世界経済の先行き不透明感が増す中で、「(業界他社も追随しない)部品値下げ要請見送りを継続すれば、サプライヤーの競争力が失われ、ひいてはトヨタの競争力の低下にも結びつきかねない」(トヨタ関係者)と判断した。

 ただ、トヨタは過去最高益を更新する16年3月期決算見通しを据え置いており、依然として高収益体質にある。明確な理由を示されない状態での部品値下げ要請の再開に「納得はできない」(部品メーカー)と、不満を示すサプライヤーも少なくない。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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