仲裁判断を受けてスズキは、VWから自己株式として取得する予定だ。時期などは未定だが、買取総額は株式取得の時価によるため4000億円程度、場合によっては5000億円近くに達する見通し。VWのスズキ株式購入に投じた額は約2000億円。VWは仲裁判断について「(スズキ株式の売却で)収益と流動性の改善に期待する」とコメントしている。

スズキの今後

 注目されるのはスズキの今後だ。スズキがVWと提携したのは、遅れていた環境技術で他社に追いつくのが目的だった。特に、電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車など、先進的な環境技術で出遅れているスズキが単独で生き残るのは困難とみられている。

 記者会見で鈴木氏は「自立して生きていくことを前提にして考えていきたい」と述べた。その背景にあるのが「(VWとの提携解消問題があった)この6年間で、マイルドハイブリッドや車両を100キロ軽くした燃費向上技術など、技術者が実力以上に努力してくれて、VWとの提携の目的だった内容はほとんど解決できた」(修氏)との自信だ。VWとの提携問題という「災いが転じて福となった」と言い切る。

 ただ、世界的に環境規制が強化される中で、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの次世代環境技術を持たないスズキが「次の提携先を模索するのは当然」との見方は強い。

「日産自動車や三菱自動車と、環境技術での業務提携するのではという情報も飛び交っている」(業界筋)

 鈴木会長は30日の会見で「VW問題での6年間、大変貴重な経験をした。いろんな企業があるなとつくづく思った。自分が思い描いている企業体質ばかりではなく、いろんな異質な企業がある」と語った。

 スズキが、いずれどこかの自動車メーカーと提携するとしても、今度は慎重に相手を選ぶことになりそうだ。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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