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横川潤「外食万華鏡」

スシローの革命的意義、その驚異的成功はドリームである 新業態店は魅力なく残念感満載

文=横川潤/文教大学准教授、食評論家
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スシローの革命的意義、その驚異的成功はドリームである 新業態店は魅力なく残念感満載の画像1スシローの店舗(「Wikipedia」より/Hanasakijijii)

 この10年ほどの外食産業界で、もっとも注目を集めた企業は「スシロー」を展開するあきんどスシローではないか。業界の経営者や業界紙の記者と話して、「今、もっとも気になる会社は?」と聞くと、かなりの確率で「あきんどスシローでしょうね」という答えが返ってくる。何しろ土日祝日の1~2時間待ちは当たり前で、気づけば400店舗を擁する年商1000億円企業にまで成長していた。まさにジャパニーズドリームといって差し支えない成功ぶりである。

 では、スシローはなぜ成功したのか。

 結論からいえば、「まったく新しい業態を創出したから」と考える。もちろん回転寿司自体は古い業態で、1958年に「元禄寿司」の社長がビール製造のベルトコンベア方式にヒントを得て大阪で始めたのが創始といわれる。余談ながら、あきんどスシローと、そのライバルと目される「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーション共に大阪の企業なのがおもしろい。

 では、なぜ「新しい業態の創出」なのか。

 スシローはおそらく、アメリカで巨大な市場規模を誇る「カジュアルダイニング」に当てはまるように思われる。アメリカではファミリーレストランはすでに80年代に凋落を迎え、それに代わるものとしてカジュアルダイニングが台頭した。カジュアルダイニングのポイントは、ファミリーをターゲットに据えつつ、料理、サービス、雰囲気のすべてにおいて「テーマ性」を打ち出しているところにある。それまでの総花的なメニューを廃して、イタリア料理、メキシコ料理、ステーキ、中華料理など専門店的なメニュー構成に変え、ファミリーが楽しめるテーマ性、エンターテインメント性を打ち出している。

 スシローはいうまでもなく寿司という専門店的メニューで、店内の雰囲気やメニューデザインなどでファミリーが楽しめる雰囲気を演出している。また、どちらかといえば「安っぽい」イメージの強かった回転レーンシステムを、一種のエンターテインメントに「リポジショニング」させた。もっとも、これは無添くら寿司の貢献も大で、この2店が競い合うことで、回転寿司という一度は終わりかけたコンセプト自体が、日本版カジュアルダイニングへとリポジショニングされていったように思われる。

 すかいらーくなどファミレス各社が新業態開発でもたつくなか、スシローは「お手頃で美味しく、楽しい」店を探していたファミリーのニーズにぴたりと整合した。そしてスシローは「日本版カジュアルダイニング」ともいうべき、「まったく新しい業態の創出」に成功したのである。

横川潤/文教大学准教授、食評論家

横川潤/文教大学准教授、食評論家

文教大学国際学部国際観光学科准教授。1962年、長野県生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了。ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得
横川 潤 亜細亜大学

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