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新田龍「あの企業の裏側」

腐り切った東京五輪組織委という病巣 エンブレム撤回でも責任全否定、佐野氏擁護の闇

文=新田龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト

 日本より中国のほうが、知的財産権に関してはよっぽど進んでいます。それは特許「庁」という役所の存在からもわかることです。所詮、経済産業省の下部組織にすぎません。中国では特許権・商標権・意匠権・著作権をそれぞれ独立した行政組織が管轄しており、取り締まりの権限があります。

 もっとも注目すべき点は、著作権を管轄する国家版権局に強力な権限を持たせ、著作権を守ろうとする意識が強いことです。中国は著作権を登録すると、行政担当者が著作権侵害と疑った場合は著作権登録者の指定した業者以外の通関手続きを全部止めてしまう。とても強力な対策が打てるのです。

 一方、日本の文化庁の著作権登録は、たとえば本やCDであれば、タイトルや表紙やジャケットだけを登録し、中身までは登録していません。よって、日本国内で著作権侵害を取り締まろうとしても中身がわからないため、警察はよっぽど著名なものしか取り締まることができません。

 しかも、著作権に関係する企業が単独で外国の著作権侵害対策をしようとすると、文部科学省の天下り団体であるJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)などから「勝手に動くな」と圧力がかかる。それに沿わないと仲間外れにされるなどの嫌がらせをされてしまうんです。以前、JASRACが中国の音楽配信サイトへの対策について、民間企業に圧力をかけて自分たちで対応しようとしたのに、対応方法がわからずアメリカに助けを求めたこともありました。結果、取り締まりができないままで日本の音楽業界は壊滅状態です。

利権の構造

 以上の証言にもあるとおり、文化庁が著作権の内容まで登録し、「グローバル基準」で取り締まりを行っていれば、このような事件はそもそも起こらなかったはずだ。著作権とはそもそもどんな権利なのかよく理解されないまま、「まったく同一か、著名な作品以外はパクり放題」という独自の状態を長い間続けてしまっていたツケが、今回まわってきたともいえる。

 エンブレムを撤回した大会組織委の武藤敏郎事務総長が記者会見で説明した内容は、次のようなものだった。

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5:30更新
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