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上昌広「絶望の医療 希望の医療」

製薬企業から巨額報酬 医療過誤死亡事故の国立医療センター院長へ…事故の責任も取らず

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 テリパラチドを販売するのは旭化成ファーマだ。公開されている13年度だけで、中村氏は586万円を講師謝金などのかたちで受け取っていた。教授・院長クラスの講演料や監修料の相場は1回で10~15万円なので、毎週なんらかのかたちで旭化成ファーマの仕事をしていたことになる。

 11年11月、旭化成ファーマはテリパラチド(商品名テリボン)を発売している。14年度の売上高は323億円。同社の屋台骨を支える薬に成長している。このようなことを知ると、前出の論文の見え方も随分と変わってくる。

 さらに調べると、中村氏は新薬承認の可否を審議する薬事・食品衛生審議会の部会の委員に就任する際に、製薬企業から金を受け取っていたことを報告しなかったようだ。6月、その事実が判明し、委員を辞任している。

 ただ、この時、厚労省が問題視したのは、MSDおよび帝人ファーマとの利益相反で、旭化成ファーマとの関係は不問に付された。厚労省がなぜ旭化成ファーマを挙げなかったのか、私にはわからない。1社から年間586万円の金を受け取っている医師が、医薬品の承認の議論に相応しくないことはいうまでもない。ちなみに中村氏は、問題となったMSDからは231万円、帝人ファーマからは107万円を受け取っていた。

 他社についても調べてみた。日本を代表する製薬企業である武田薬品からは60万円、第一三共からは211万円を受け取っていた。正直、この数字には驚いた。ナショナルセンターの院長としては予想外の金額だ。

 製薬企業はあまたある。おそらく、これでも氷山の一角だろう。中村氏は、「製薬企業と親密な医師」といっても差し支えない。

問われる厚労省の責任


 中村氏の名誉のために言うが、製薬企業から講演料や顧問料を受領するのは、きちんとしたルールに則っていれば違反ではない。ただ、ここまで製薬企業の副業に勤しんでいる医師が院長に相応しいだろうか。

 医療センターは厚労省直轄の旧国立病院だ。その幹部人事には、厚労省の意向が反映される。中村氏の院長人事から、厚労省は製薬企業との利益相反を問題だと考えていなかったことがわかる。ちなみに、14年4月の段階では、すでに臨床研究不正はマスコミで話題になっていた。厚労省の鈍感ぶりに驚く。

 医療センターでは約460人の医師が働き、68億円の運営費交付金(13年度)を受け取っている。これは埼玉大学や茨城大学が全学で受け取る運営費交付金よりも多い。

 そして、この病院の売りは「臨床研修」と「医療事故研究」。現在、92名の初期研修医、52名の後期研修医が「修業中」だし、医療センター幹部は、医療事故の主任研究者として巨額の公的研究費を受け取ってきた。

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