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なぜ「安かろう、まずかろう」のかっぱ寿司買収?あの急成長企業、ついにマック超え!

文=福井晋/フリーライター
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 「コロワイドの番頭」こと同社の野尻公平社長が、東京・日本橋にある神明東京事務所に藤尾氏をひそかに訪ねたのは、経営統合発表直後の12月初旬だった。野尻氏はまるで藤尾氏の心中を見透かしたかのように「経営統合で再建とは、実際はお困りなのでは。どうです、カッパをうちに譲ってもらえませんか」と、単刀直入にカッパの買収意思を伝えた。その時は「譲渡をお願いします」「御社のお気持ちはしかと承りました」で極秘のトップ会談は終わった。

 米の安定的大口販売先確保の目論見で神明がカッパを買収したのは、13年4月のことだった。だが買収後にカッパの内情を精査してみると、「安かろう、まずかろう、食の安全性も不安」の悪評定着、本部の指導に現場が面従腹背する従業員の根強い経営者不信など、神明が予想していた以上に経営状態が酷く、14年2月期は2期連続の最終赤字。運転資金融資を事実上拒む銀行を、藤尾氏が個人保証人になるかたちで融資を承諾させなければならないほどだった。カッパの資金繰りをなんとかしのぐと、藤尾氏は「一歩踏み込んだ再建策」として自ら描いた「元気寿司との経営統合」のシナリオに自信を持てなくなっていた。

 昨年8月、藤尾氏は野尻氏の要請を受け、都内のレストランで再度極秘会談をした。その場で野尻氏がまたも単刀直入に「カッパを譲ってもらえませんか」と切り出した。会談要請を受けた時点で腹を括っていた藤尾氏は「お願いします」と即答した。

 その後、「カッパと元気の経営統合白紙へ」というニュースが昨年10月2日、一斉に報じられた。同月27日にコロワイドがカッパのTOB(株式公開買い付け)を発表すると、同社がいきなり業界上位へ台頭してきた影響力の大きさに、「買収の噂は本当だったんだ」と業界内に衝撃が走った。

 では、コロワイドはカッパのどこが魅力で買収したのか。

消費者の財布独り占め戦略

 1977年に居酒屋「甘太郎 逗子店」を開店、80年代後半からそのチェーン展開を本格化したのがコロワイド成長の始まり。居酒屋事業は同社の祖業といえる。だが、夜しか営業できない居酒屋の市場規模は約1兆円(14年外食産業市場規模推計/日本フードサービス協会より)。ワタミの凋落が示すように市場は縮小傾向を強めている。対して昼から夜まで営業できるファミレス、ディナーレストラン、寿司・焼肉店などのレストラン系市場規模は客層が広いこともあり約13兆円(同)に上る。

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