
飲酒、喫煙の18歳解禁に自民党内で反対意見続々
6月17日、公職選挙法改正案が可決され18歳から選挙権が得られるようになったのに続き、9月1日、自民党が民法上の「成人」年齢を18歳に引き下げたり、喫煙、飲酒、公営ギャンブルの年齢制限を20歳以上から18歳以上に引き下げる検討に入ったというニュースが流れた。
2日には自民党内で「成年年齢に関する特命委員会」が開かれた。提言案は「16歳から飲酒、喫煙できる国もある」「一律に大人扱いすべきだ」と引き下げを認める内容だったが、出席者から青少年の健康への悪影響を懸念する反対意見が多く出て、政府への提言はまとまらず先送りになった。特命委員会は10日にも開かれ、民法上の成人年齢を20歳から18歳に引き下げる政府への提言案は了承したが、飲酒、喫煙、公営ギャンブルの禁止年齢引き下げは結論を見送り、賛否両論を併記した。
たばこの健康への悪影響、酒のイッキ飲みによる急性アルコール中毒、飲酒運転や非行の増加などを懸念する反対世論は根強いが、国や地方自治体の財政にとっては「酒、たばこは20歳になってから」が「18歳になってから」に変われば、酒税、たばこ税からの収入の増加が見込まれる。では、果たしてそれはどの程度なのか。
飲酒習慣者28.4万人、喫煙人口29.4万人が新たに加わる計算
文部科学省は大学進学率を計算するために、中学を卒業する15歳の人口をもとに18歳人口を算出している。それによると今年の18歳の人口は120万人、前年の18歳、つまり現在の19歳人口は118万人で、合わせて238万人。18歳人口は直近ピークの1992年は205万人だったから、少子化で約4割も減っている。
18歳からお酒もたばこも許されたら、そのうち何万人がお酒を飲み、何万人がたばこを吸うのだろうか。
その比率を推測できるのが、年齢層が接している20歳代の飲酒率や喫煙率だろう。厚生労働省の「平成23年(2011年)国民健康・栄養調査結果の概要」によると、清酒換算で1日1合(ビール中瓶1本)以上を1週間に3日以上飲む「飲酒習慣者」の割合は、成人全体では20.2%で、その人口は2121万人。20~29歳は男性15.7%、女性8.3%だった。18~19歳の238万人が男女半々だとすると、飲酒習慣者の人口は男性18.6万人、女性9.8万人で、合計28.4万人になると推測される。
喫煙率はJT(日本たばこ産業)が毎年調査している。14年の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人全体の喫煙率は男女合計19.7%で、喫煙人口は2059万人。そのうち20歳代は男性15.5%、女性9.4%で、男女合計で12.4%。18~19歳の238万人が男女半々だとすると、喫煙人口は男性18.4万人、女性11.2万人で、合計29.6万人になると推測される。