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垣田達哉「もうダマされない」

財務省の姑息な策略 国民生活を破壊、欠陥だらけで破綻した消費税還付案の「狙い」

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表

 しかも、駐車券などのスタンプと違って、税金を戻すかどうかの証書の役割をレシートが持つことになる。では、レジ側でスタンプを押すとなると、これも難しい。機械的にレジでなんらかの印を印字することは難しくはないが、時間がたつと消えることもある。レジ係の判断で区別することは間違いのもとなので、マイナンバーカードをスキャンしたことをレジが認識して印を印字することになる。それだけでも結構面倒なシステムになる。還元した証拠を残さないと不正が起きる。レシートの売り買いが起きる可能性もある。

 もうひとつやっかいなことがある。レシートの印字は、時間がたつと消えるものが結構多い。還付してもらうための重要な証拠が消えてしまうのでは役に立たない。そうなると、レシートの品質や印字・印刷の機械を変更しなくてはならなくなる。

 財務省案が事業者の負担を軽減するというのは真っ赤なウソである。

消費税非還付店が続出する

 こうしたレジでのイレギュラー対応やトラブルシューティングは、大手企業ならなんとかこなすことができるが、中小企業は最も苦手な分野だ。インボイスよりはるかに煩雑で複雑でコストがかかる財務省案は、中小企業ほど採用しなくなる。つまり、中小企業では「消費税非還付店」が続出する恐れがある。そうなれば、消費者はますます還付される大手の店を選ぶことになる。財務省案は、弱者救済ではなく弱い者いじめの案なのだ。

システムは簡易で、センター設置に数千億円はかからないというのはウソ

 財務省主税局税制2課長は「1億2000万人の個人(の情報)とポイントを、365日の買い物情報として管理する。システムは簡易で済む」(9月11日付読売新聞)というが、とても信じられない。

 たとえば、日本人の半数(6000万人)が毎日どこかで買い物をするとする。その情報は、小売店や飲食店から、都度(おそらくリアルタイム)還付センターにデータ送信される。1人が平均5品の買い物をすると、6000万×5=3億件のデータが、毎日センターに送信されることになる。

 2012年(平成24年)の総務省統計局の経済センサス活動調査によると、小売業の事業所数は、衣料専門店を除いても約100万カ所ある。この中には、ホームセンター、ドラッグストア、通販などの無店舗販売所も含まれている。飲食店は、バー、キャバレー、ナイトクラブを除いて約37万カ所ある。あわせて約137万カ所になる。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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