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「停学処分」より軽い…東芝、特設注意市場銘柄指定でも不利益ゼロ?ビクともせず?

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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 そんな状況では、東証も上場廃止が確実な監理銘柄の指定は行えないが、組織ぐるみの問題なのでなんの処分も講じないわけにはいかない。そこで持ち出してきたのが、特設注意市場銘柄の指定だった。

投資家への注意喚起が第一目的

 特設注意市場銘柄というルールは8年前の07年11月、東証および合併前の旧大阪証券取引所で始まったが、その前年に起き、一時は全取引停止の事態に陥ったライブドア事件による東京株式市場の大混乱がきっかけだった。組織ぐるみのスキャンダルを起こしても上場廃止基準には抵触せず、クロかシロかまだわからない銘柄、悪質さの程度が軽い銘柄をとりあえずこれに指定して投資家に注意を喚起し、マーケットの混乱を防ぐ。それが特設注意市場銘柄を設けた第一の目的である。

 もう一つの目的は、上場基準を満たし上場廃止基準に抵触していない銘柄でも、特設注意市場銘柄に指定して問題の改善がみられなければ、東証が上場廃止を命じられる道を開いたことだった。それによる上場廃止(整理銘柄指定)の処分は昨年まで1件も行われず「抜かない刀」といわれてきたが、今年になって2件続けざまに行われた。

・京王ズホールディングス…創業者への不正な資金流出
 ※京王電鉄とは無関係
 特設注意市場銘柄(12年1月)
 →上場廃止(15年5月29日)

・グローバルアジアホールディングス…有価証券報告書の虚偽記載
 ※旧社名 プリンシバル・コーポレーション
 特設注意市場銘柄(12年6月)
 →上場廃止(15年9月12日)

 さらに、14年3月に特設注意市場銘柄に指定された学習塾のリソー教育について東証は、9月8日付で特設注意市場銘柄の指定を継続するとともに、9月11日付で「監理銘柄(審査中)」に指定した。もっとも上場廃止が決定的なわけではなく、内部管理体制確認書が再提出され改善がなされたと東証が認めれば、処分は解除される。

 リソー教育の処分が注目を集めたのは、昨年特設注意市場銘柄に指定された際の理由だった。売上高、利益の過大計上で「不適切な開示処理をしたことで、第三者委員会の調査を受けたほか、過去の有価証券報告書や四半期報告書を訂正し、内部管理体制について改善の必要性が高いと判断された」とは、東芝の不適切会計問題の経緯にそっくり。東証が東芝に対し、「こうなることもありえる」と、わざわざ警告を発したと解釈することも可能だろう。

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