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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べれば良いのか」

牡蠣・アサリ・シジミの生焼けに注意!新型ノロウイルス、10月以降に大流行の恐れと警告

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 三重県でも、「G2.17」が15年1月に4件、2月に8件、3月に3件発生していた。ちなみにこの間、「G2.4」は1月と2月に各1件しか発生していない。

 このことから、国立感染症研究所の報告では「全国的に流行していることが推察される」【編注3】としている。

 では、世界的に見るとどうだろうか。13年に台湾、さらに14年に香港と中国で見つかったノロウイルスは、いずれも川崎市で見つかった「G2.17」で、特に中国では流行を引き起こしていた。

 さらに、このウイルスはアメリカでも散発的に見つかっているため、国立感染症研究所の報告は「すでに世界中で検出されている可能性がある」【編注4】としている。

 しかも、14年8月までに検出されたウイルスと、その後の冬期に検出されたウイルスでは、遺伝子の情報によってつくられるタンパク質のアミノ酸の配列が違うという。

 これは、ウイルスが短期間に速いスピードで進化し、変異していることを示す。ウイルスが変異すると、何が問題なのだろうか。

 ノロウイルスに限らず、私たちはウイルスに感染しても、次第に免疫力をつけていく。しかし、それではウイルスは生きていけないため、その免疫システムを回避しようとする。ウイルスが変異するのは、免疫回避策のひとつなのだ。

 つまり、現在の私たちは「G2.4」に対して免疫力を持っていても、「G2.17」に対しては免疫力がない。そのため、「G2.17」という新型ノロウイルスの世界的な大流行が心配されているというわけだ。

10~11月のシーズン立ち上がり期に警戒を

 大流行とは、どの程度の流行を指すのだろうか。参考になるのは、「G2.4」によって、世界と日本でノロウイルスが大流行した06年のデータ【編注5】だ。

 04年から14年までの11年間平均のノロウイルスによる食中毒患者数1万3929.5人に対して、06年は約2倍の2万7616人になっている。

 月別で見ると、流行の度合いがさらにはっきりする。06年には、冬だけでなく4月や6月にも患者が多かったが、驚くのは10~12月だ。10月は11年間平均の4.2倍、11月は同4.3倍、そして12月は同2.9倍の1万1547人だ。05、09、11、14年は年間患者数が8619~1万874人なので、12月だけでその1年分以上になる。

 だからこそ、国立感染症研究所のもうひとつの報告【編注6】では、以下のように強く警告されている。

「(ノロウイルスの)主要流行株(遺伝子型)の入れ替わり(「G2.4」から「G2.17」へ)は、06年以降、我々が初めて経験する大きな変化であり、(この)シーズンの立ち上がり、つまり10月下旬~11月終盤にかけての「G2.17」の動向には、細心の注意を払う必要がある」

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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