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「ココロに効く(かもしれない)本読みガイド」山本一郎・中川淳一郎・漆原直行

ここまで論外なトンデモ本は、さすがにちょっとマズイんじゃないですかね?

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 福島発の「放射性ガス」や「人口の多いカリフォルニア州やラスベガスには降灰」させずにアメリカでは核実験を行っていた等の、ほぼ完全なトンデモが事実であるという前提で話が進んでいき、要するに放射性物質が大量にばら撒かれたことが政府や東電によって隠蔽されており、今後国民の健康被害として影響が高まると結論付けております。

 なんだろう、放射性ガスって。

 当然、事故のあった福島第一原発周辺の浜通りは影響が大きく、いまなお事故の傷跡が深い地域のあることは事実でしょう。しかしながら、いまやこの民主主義の世の中で放射線量の高さを計測するガイガーカウンターは多くの国民によって保有・管理され計測されているのが事実であり、そこまで国民は馬鹿ではなく情報を与えられなければ知らないような人々ばかりではないことは自明であります。

 要するに、広瀬さんの作家人生をかけて著した警告の書であるらしい本作は、多少は理系知識のある人間からすれば底の浅いプールであり、そこで「危ないよ、おぼれるよ」と言われても「泥酔でもしてないとおぼれようもないよ」という話です。ある程度、知っていればリスクは管理できるし、福島県で生まれた子供に現段階で異常はなく、ある意味で福島に対する差別を助長している内容だとも言えます。困ったものです。

相応の知性も兼ね備えた広瀬さんに、一体何が…

 それにしても、広瀬さんは作家としての実績も充分ですし、相応の知性も兼ね備えた御仁であることは間違いありません。理系の知識があり、現状起きている放射能の状態を知っている人間であれば未知のことで確たることは何も言えないはずの事象について、ここまで論外なトンデモ本をまた書いてしまうのは何か理由があるのでしょうか。また、それを担ぐかたちになっているダイヤモンド社も、売れることを前提に不安を煽るような書籍を世に出すことで、お金以外の何かを失うような気はするんですよね。

 原子力発電所関連のロスチャイルド家がどうの、という話は、もう単純な話が広瀬さんの知性では説明のつかない事実関係を調べ切れなかったので取り出してきた陰謀論の具でしかないのは明白で、いやー、全然関係ないだろとしか思えないんですよね。資本関係がどうのというのと、なんぞ陰謀が絡んでいるというのは同列に並べてはいかんと思います。

 これでそれなりに読者がついて売れるというのは「面白い本を興味持っている読者に売る」というビジネスとしてはまことに結構ですが、この人は小説だけ書いていたほうが本当は社会にとっても本人にとっても幸せだったんじゃないかと改めて思う次第です。
(文=山本一郎)

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