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セブン&アイが抱える深刻な火種 セブン加盟店の不満噴出、傘下企業の深刻な経営不振

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト

 経営合理化策は、全社員の1割以上に上る120人の希望退職者募集と、ベッド、ソファなどの大型家具事業撤退が柱。14年12月期連結決算の営業赤字66億円のうち12億円が大型家具事業によるものだった。三重県いなべ市の大型商品配送センターも売却する。

 セブンがTOB(株式公開買付け)でニッセンを買収、子会社化したのは14年1月のこと。TOBと第三者割当増資による株式取得総額は約133億円だった。オムニ事業を開始するには通販大手との連携が欠かせないと判断したためといわれる。ニッセンの通販会員獲得に加え、コールセンターの運営ノウハウをオムニ事業に採り入れる計画だった。

 オムニ事業開始に備え、ニッセンのカタログのセブン店舗配布、セブンのネット通販サイト「セブンネットショッピング」でのニッセン商品販売などの協業も進めた。今ではニッセンのカタログがセブン約1万8000店の大半に配布されている。それまでのカタログ配布場所は約4万カ所だったので、一挙に45%も増えたことになる。

 だが子会社化から1年半経っても協業効果が表れない。ニッセンは増収増益どころか減収・大幅赤字に陥っただけだった。これに痺れを切らしたセブンがニッセンにリストラを迫った格好だ。

 今回の経営合理化策について、セブン関係者は「ニッセンの経営不振が当社通販事業の75億円もの営業赤字(15年2月期)要因になっており、10月から開始予定のオムニ事業の足を引っ張る可能性が強まってきた。とにかく赤字止血の緊急措置が必要だった。ニッセンの経営再建はそれからの話」と打ち明ける。

老朽化したビジネスモデル

 そもそも、オムニ事業開始を目指すセブンがその中核的役割を担う会社としてニッセンに白羽の矢を立て、買収した当初は両社の利害が一致しており、ニッセンもセブンの傘下に入ることで経営が安定するはずだった。というのは、アマゾンと楽天を先頭とするネット通販専業が通販市場でシェアを拡大するなか、先行きが暗くなったニッセンはかねてからネット通販の攻勢をかわすための資本提携先を探していたからだ。

「大手専門店、総合商社など10社以上の流通関係に提携を打診してきたが、その中でセブン以上の提携先は見つからなかった」(ニッセン関係者)

 10年頃からニッセンの売り上げと稼働客数(1年間に1回以上注文した客数)は明確な縮小傾向を示している。このため、たとえば14年12月期の場合、ニッセンの会員3258万人に対し稼働客数は412万人。換言すれば「ニッセン百貨店には年間3258万人が訪れたが、買い物をしたのはそのうちのわずか13%」ということになる。

 一方、セブン傘下のコンビニ、スーパー、百貨店などの小売店をすべて合わせると、1日に約1800万人もの客が買い物をしているといわれる。「その5%程度がニッセンの商品を買ってくれるだけで、売り上げ縮小傾向を拡大傾向に転換する起死回生策になる」(同関係者)というわけだ。

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