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自宅は妻に「贈与」せよ?

文=横川由理/ファイナンシャルプランナー
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自宅は妻に「贈与」せよ? の画像1「Thinkstock」より
 今年1月から相続税の増税が実施され、課税対象となる人が増えた。これまでは「よほどお金持ちでなければ税金はかからない」といわれていた相続税だが、特に首都圏に持ち家がある場合など、避けて通れないのが現状だ。

 相続税対策というと、一時払い終身保険へ加入して保険金の非課税枠を活用したり、タワーマンションを購入するという方法が一般的だが、もっと良い方法がある。それは、妻に自宅の持ち分を贈与することだ。

 贈与には、1年間に110万円の基礎控除額が認められている。110万円までは無税で贈与できるが、110万円を超えると相続税よりも高い累進税である贈与税がかかるため、敬遠する人も多いだろう。しかし、贈与税には多くの特例が存在する。

 中でも「贈与税の配偶者控除」は、夫婦間で居住用の不動産を贈与したときが対象だ。この非課税制度は2000万円までが対象となり、かなり優遇されている。具体的には婚姻期間が20年を超える夫婦が、自宅の持ち分を贈与した場合に適用される。この制度を活用すると、基礎控除額との合計2110万円までの財産を無税で配偶者に移転することができる。

【夫婦間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除】
贈与額-(贈与税の配偶者控除・2000万円)-(基礎控除・110万円)=課税対象

 金銭の贈与であっても対象にはなるが、そのお金で自宅を建築するなり、購入するなり、とにかく自宅のために使う必要がある。あくまでも居住用の不動産に限った贈与であることに注意をしてほしい。

 この制度の優れている点は、相続税との兼ね合いにあるといえる。通常、相続税を計算する際、被相続人の死亡前3年以内に行った贈与は贈与財産とは見なされず、相続財産に持ち戻されてしまう仕組みだ。しかし、贈与税の配偶者控除を利用した贈与は、持ち戻しの対象とはならない。

「夫の余命が幾ばくもない」と宣告されてからの贈与であっても、確実に2000万円分の財産を減らすことができる。とはいっても、余命宣告された夫に「相続税がかかるから贈与してほしい」などは、口が裂けても言えないだろう。やはり、元気なうちから対策を立てておくことが大切だ。

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