「恋愛スルー」の現在の20代
ところが、である。これに対し、今の若者達の驚くべき「恋愛クール」ぶりが明らかになった。
それが、今年発表された内閣府の「少子化社会対策白書」。ここで、未婚で恋人がいない20代男女の、なんと約4割が「恋人が欲しくない」と回答。さらにそのうち、男女とも半数近く(45%前後)が、「恋愛は面倒」だと答えたのだ。

08年、私は消費や恋愛に慎重な「草食系男子」に関する本を書いた。ただ、最近は男子以上に、女子の恋愛クールぶりが顕著なのである。先のオーネットの調査でも、「恋人は別に欲しくない」と考える女性(20歳)は4割で、男性の35%を上回り、過去最悪の数値を記録した。
なぜ、男子だけでなく女子までが、「恋愛は面倒」「できれば無視したい」と、すっかり「恋愛スルー」になったのか。取材してみると男女から、こんな言葉が飛び出した。
・「告白って、なんか本気すぎて怖い。『メンヘラ』(精神障害)って感じ」
・「恋愛自体、恥ずかしい。『ネタ』っぽい」
・「デートって疲れる。お金や時間考えると、コスパに合わない」
・「恋人? 別に要らない。ほかに楽しいこと、いくらでもありますから」
初めは、「本当は彼氏、彼女が欲しいのに、強がりを言っているのかな」と思った。そこで、「ほかに楽しいことって、ナニ?」と聞き返すと、返ってきたのは次のような答えだった。
・「嵐のDVD観るでしょ、友達とショッピング行って、フェイスブックでつぶやくでしょ」
・「AKB(48)のブログチェックや、ネトゲ(ネットゲーム)かな?」
・「ひたすら、LINEで『ツムツム』(ディズニーキャラクターのぬいぐるみを消すパズルゲーム)か、『恋アプ』(ボルテージの、恋愛ドラマアプリ)にハマる!」
聞けば、なるほど確かにどれも楽しそう。

私も以前、AKB48のファンを半年間取材したことがあるから、彼女達のブログやSNSにどれほど胸ときめくかは知っている。また、女子が軒並みハマる「恋アプ」も、リアルの男子は絶対に言ってくれなそうなセリフや、「壁ドン」「あごクイ」「頭ポンポン」など、瞬時にキュンとなるシーンが満載だ。
ハッキリ言って、リアル恋愛はこんなに夢を与えてくれない。特に今の20代は、情報番組や恋愛サイトに慣れた世代で、「恋愛なんて、所詮はこんなもの」という現実も、子どもの頃からイヤというほど見聞きしてきた。