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月給22万のはずが実質13万に…生活を圧迫する、ブラック企業の「自腹営業」恐怖の実態

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月給22万のはずが実質13万に…生活を圧迫する、ブラック企業の「自腹営業」恐怖の実態の画像1※画像:『自爆営業』(樫田秀樹/著、ポプラ社/刊)

 「自爆営業」という言葉はブラック企業の実態の一つとして、すっかり有名になった感がある。

 これは、営業ノルマを達成するために、営業マンや販売スタッフが自腹を切って自社の商品を購入することを指す言葉だが、額が少額でなおかつ一度や二度であれば特に疑問に思わずに自腹を切って、すぐに忘れてしまう程度のことかもしれない。しかし、中には額も頻度も生活を圧迫するほどの「自爆営業」を、半ばスタッフに強いる形でやらせている企業や団体があることもまた、広く知られはじめている。

 『自爆営業』(樫田秀樹/著、ポプラ社/刊)は、その実態はもちろん、自爆営業が生まれる背景や対策について、実例を交えて解決している。

 本書によると、ひとくちに「自爆営業」といっても、その手口はさまざまで、単に商品を自分で買うだけではないケースも多く、本人が自覚しないままに「自爆営業」をさせられている人は案外多いのではないかと考えさせられる。

 牛乳配達などを全国展開するN社の千葉デリバリーセンターにつとめる山田さんは、2006年、入社前の面接でこんなことを言われたという。

「牛乳配達に使う車のガソリン代は自己負担」
「その車のリース代として給与から1万6千円が差し引かれる」

 この時点で辞退していれば、山田さんがその後苦しい思いをすることはなかったはずだ。しかし、山田さんは「ボーナスは前年実績で2.8カ月分」という面接官の言葉を信じて「それならガソリン代とリース代をカバーできる」ということでその条件を飲んだという。当時すでに50代後半だったため、正社員での雇用であれば贅沢は言えないという事情もあったようだ。

 N社の牛乳配達は荷物の積み込みから配達、集金、そして新規顧客を得るための営業など多岐にわたり、過酷なものだった。しかし、山田さんは毎日懸命に働き、半年ほど経ったころ、上司にボーナスの時期について尋ねたが、返ってきたのは意外な言葉だったという。

「ウチの会社にボーナスなんてないよ」

 驚いて、入社時にみた求人票に「ボーナスは年2回」と書かれていたことを話すと、「あれはミスプリント」という一言で片づけられてしまった。ボーナスがあるからこそガソリン代を自腹で払い、リース代を支払ってきたのだから、この言い分は到底納得できることではない。しかし、N社のケースはこれだけではなかった。

 N社には、毎月の配達本数が7,200本というノルマがあり、このノルマに達しないと、不足分1本につき30円が給与から引かれるというシステムだったのだ(2014年2月時点)。自社商品を買うというのではなく、ノルマ不足分を給料から天引きする形だが、これも明らかな「自爆営業」だ。

 7,200本というのは一見しただけでもかなりの数字で、達成できているのは、全国に1,000人ほどいるとされる同社の販売員のうち13%ほど。残りはすべてノルマ不足分を給料から天引きされていることになる。

 山田さんもまた、月に6,000本ほどしか配達できなかったという。つまり車のガソリン代とリース代に加えて、毎月3万円以上が給料から天引きされるということ。これらを差し引くと、本来22万円の固定給が13万円ほどだった。そして会社への交通費も出ないため、さらにお金が出て行ってしまうのに加えて、残業代も一切出ない。

BusinessJournal編集部

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