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片山修「ずたぶくろ経営論」

VW不正、ベンツとBMWへも疑惑の目 「誤魔化し」常態化、日本勢への遅れに焦り

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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 こうした背景から考えると、VWは排ガスについても、燃費と同じように建前上の数値と実際の走行時における数値の乖離について、いつの間にか消費者を「騙している」という意識が薄れていたのではないか。

 事実、実際に走行する際の排ガスに含まれる有害物質が基準値を超えていることは、燃費と同様、欧州では「なかば常識」という説もある。登坂時や急加速時、高速走行時、また乗車人数が多い場合などにはエンジンに負担がかかり、その分、排ガスが汚れるのはいわば当たり前だからだ。

 それにしても、NOx(窒素酸化物)の値が規制に対して最大40倍と聞けば、さすがに「常識」の範囲にはおさまらないだろう。つまり、VWは悪しき慣習を続けた結果、建前上の数値と実走行の数値が乖離している状態に、罪悪感が薄れていたといえるのではないか。

 結果の如何は別にして、ブランドイメージに受けるダメージや、クリーン・ディーゼル技術に対するイメージが悪化するのは避けられない。さらにいえば、ドイツの歴史と栄光に包まれてきた「モノづくり神話」の低下につながったことは間違いない。まさに、ドイツ・ブランドの失墜である。

トヨタの比ではない

 トヨタの09年以降のブレーキ不具合に関する大規模リコールは記憶に新しいが、トヨタのブレーキシステムは結果として“シロ”だった。それでも、トヨタは完全復活に2~3年を要した。

 今回の事件において、VWは明らかに“クロ”である。ヴィンターコーン氏は関与を否定しているが、詐欺容疑での刑事事件に発展する様相だ。そればかりか、2兆円の制裁金のほか、リコール、集団訴訟などVWへの世界の風当たりは増すばかりだ。

 問題は顧客の人命に関わらないという意味で緊急性は低い。しかし、環境技術への関心は世界的に高まるなかで、顧客を故意に「だました」という悪質性からして、事件がVWのブランドに与えるダメージは、トヨタの比ではないだろう。

 日本人には、ドイツ車に対する根強いコンプレックスがある。一部の舶来盲信の層はドイツ車を讃える一方、トヨタなどやホンダといった純国産メーカーを「田舎者」扱いしがちな面がある。

 しかし、そのドイツ車は大きく躓いた。日本メーカーは、もっと自信を持っていいのではないだろうか。
(文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)

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