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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

中国の経済危機説はデタラメ? 落ち込みは一部のみか

文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員
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 また各社別に見ていくと、1月の伸び率の低下は3社にほぼ共通しており、それぞれに差はあるものの3月に1月の落ち込みを補っている。会社別に比較的好調なのは広州に拠点を置く南方航空であり、上海拠点の東方航空は平均的、北京拠点の中国国際航空が最も低い伸びを示している。注目の8月もほかの2社が安定しているのに比べ、中国国際航空は軍事パレード準備の影響か5%の水準まで伸びが低下した。

 国土の広い中国で各社はそれぞれ異なる拠点で事業展開している。ここから見えるひとつ目の特徴は、変化の傾向は各地域が同じ挙動を示していること、もう一つは、各社の成長水準の違いはすなわち地域ごとの経済成長の差を表し、中国経済は南高北低が続いているのではないかと思われることである。また、8月の北京を中心とした落ち込みが今後どのように変化していくのかは目を引くところであるが、その変化は中国全体の数字では埋没している。

訪日中国人の状況

 さて、日本にとって注目すべきは、訪日中国人の状況である。こちらを示したものが次のグラフである。

中国の経済危機説はデタラメ? 落ち込みは一部のみかの画像2訪日中国人の月ごとの入国数

 このグラフは、法務省の統計に基づき、14年1月以降の訪日中国人の月ごとの入国数を見たものである。14年は月20万人規模で安定していたが、15年の2月以降は月40万人と、一段高い水準で推移している。月ごとの振れは、中国の連休期間の旅行需要の盛り上がりなどから生ずるが、今年に入ってからの入国数の変化は、1月に日本政府が実施した中国人に対するビザ発給の緩和が大きく影響しているものと考えられる。6月までのデータしか公表されていないが、現時点ではここからも中国景気の落ち込みは見てとれない。

 中国の経済動向は今やさまざまな分野の人にとって最大の関心事である。中国の経済指標についてその信頼性が問われる中、広大な国土を持つ中国経済の実像は正確にとらえがたい。航空輸送指標は経済実情を知るための一指標にすぎないが、航空分野から見える中国の天気は予想外の「いまだ晴れ」である。
(文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員) 

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