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「ココロに効く(かもしれない)本読みガイド」山本一郎・中川淳一郎・漆原直行

他人から暴力や怒りや反論を喰らわぬためには、どうすればよいのでしょうか

文=中川淳一郎/編集者
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 こうした今の時代であれば「暴力教師」とも捉えられかねない教師に畏怖の念を抱き、従う生徒だらけになることにより、「荒れた中学」からは脱却できる。しかし、これは同時に立川市内での評判の低下を招く。その頃、ナンバーワンの荒れた中学は「二中」だった。近所の朝鮮中学と激しい抗争を繰り広げたがゆえに戦闘力が高まり、都内のどこにも負けないほどワルの巣窟と化したとされた。だからこそ、立川駅近くのゲームセンターなどに行くと「お前何中?」と聞かれ「六中…」と答えた時に相手が「オレ二中」と言う時にヤツらは誇らしげな顔をしていたのである。

 そんな中、Hという美女が二中から転校してきた。勝手に「Hは二中の番長と付き合っていた」「あいつはスパイに違いない」といった噂が流れるのである。結局そんなことはないのだが、地元の「最強中学伝説」というものは滑稽ながらも一つの「あるあるネタ」として男の心にはしみついているのだろう。

暴力論以外の見どころもある書

 さて、本書で学ぶべき点は著者の文章スタイルである。決して暴力を肯定しているわけではない、ということを述べるとともに、実話ナックルズ元編集長ということで自身に貼られた「こわもて」イメージをいかに払拭させるか、という文章スタイルを採っている。

 さすがに、たった一言の言い間違いがいかに相手を怒らせるのかを熟知した人物による文章である。回りくどい表現がある場合は、それが反論を喰らわぬための周到な伏線であり、補足説明を随所に加えるあたり、誰かを傷つけたり挑発する文章を書きたくない者にとっては参考になることだろう。前出のとおり「三兄弟」に関する文章でも、最後のところに全国の三兄弟への配慮の一文章を添えている。

 あとは「低姿勢であっても損しない」「謝る時はとにかく謝る」といった人間としての道理のようなものも説くなど、暴力論以外の見どころもある書だった。
(文=中川淳一郎/編集者)

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