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秩父が熱いぞ!群馬の村に世田谷区民が大量に押し寄せ

文=安積明子/ジャーナリスト
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 しかし、農地を取得するには、北海道の場合は2ヘクタール以上、都府県の場合は50アール以上でなければならないという、農地法の規定がある。農業存立のために、農地が分散するのを防ぐ目的だが、これでは「気軽に農業を楽しむために、農地を取得する」といったことは不可能だ。

「しかし、別段面積制度を使えば、農業委員会の判断により、規定より小さな面積での農地取得も可能になります」(同)

 別段面積とは、前述した面積の下限を引き下げるものだ。09年12月施行の改正農地法では、新規就農などを促進するために、農業委員会の判断で「別段面積」を定めることができるとしている。

 雲南市の場合、別段面積は20~30アールだが、12年11月に「空き家つき農地」については遊休農地であることを条件に、1筆につき1アールとなった。

「私たちは雲南市のケースを手本にして、秩父でも家庭菜園つき家屋で定住者を確保したい。しかし、それだけではなく、“都会から秩父へ”という人の流れをつくりたいと思っています」(同)

世田谷区と川場村の交流

 つまり、秩父を都会の人の「第2のふるさと」にするという構想だ。その手本となるのが、東京都世田谷区と群馬県川場村の交流である。

 世田谷区と川場村は1981年に「区民健康村相互協力に関する協定」を締結、住民同士が交流しながら相互扶助を行っている。その一例が、「川場村移動教室」だ。

 これは世田谷区内の公立小学校5年生の約6000名を対象にした2泊3日の自然授業で、これまで延べ17万人も参加している。移動教室は5~11月に行われるが、川場村と世田谷区はそれ以外の時期にも農業技術教室や里山塾などのプログラムで活発に交流している。

「小さい時から交流を深めることで、心の中に第2のふるさとをつくるというわけです。さらに、93年に開業した道の駅『田園プラザ川場』は、住民同士のふれあいの場になっているほか、ファーマーズマーケットの売り上げは年間約10億円にも上っています。第2のふるさとをつくることによって、経済効果も十分に期待できるのです」(同)

 西田議員は、こうした前例を参考に、秩父の創生を考えていくつもりだという。今後、その手腕に期待したいところだ。
(文=安積明子/ジャーナリスト)

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