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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

三菱重工、大型客船建造の巨額損失をバネに解体的改革始動 仏アレバは絶対に買うな!

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
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PPMを本格活用

 三菱重工業のような重厚長大企業では、取り組んでいる事業が多岐にわたり、歴史の途次では収拾の付かなくなる事例も多い。13年に社長に就任した宮永俊一氏が主導したこの事業計画には、「ドメイン」「SBU(戦略的事業ユニット)」などの用語がちりばめられており、名経営者と呼ばれたジャック・ウェルチ氏の米ゼネラル・エレクトリック(GE)経営を彷彿とさせる。実際に宮永氏はウェルチ流経営を深く学んできたのではないかと思われる。

 宮永氏は11年に社長室長に就任すると、同社にSBUの概念を持ち込んだ。そして、その年に64認定したSBUは15年の段階で48に絞り込まれ、14年事業計画では将来的に35~40に絞り込まれるとされている。

 それら多数のSBUは、「エネルギー・環境」「交通・輸送」「防衛・宇宙」「機械・設備」という4つのドメインに振り分けられて、経営的な判断が容易にできるようになった。さらに宮永氏は、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/14年7月26日号)で次のように述べている。

「全ての事業について、競争優位性や成長性などで格付けし、『伸長・維持』『変革』『新規』『縮小・撤退』の四つに分類して精査しています。収益性が高く、キャッシュを生み出す事業は『伸長・維持』となり、得られた余剰資金は改善が見込める『変革』、または『新規』に還元します。一方で、収益性が低く、もはや改善が望めないとなれば、『縮小・撤退』となります」(同誌より)
 
 この技法は、まさにPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント、実際には事業ポートフォリオ・マネジメント)セオリーの応用である。私には、宮永氏のPPMセオリーへの強い傾倒が読み取れる。

 宮永氏のような戦略経営者はどんな結果を出せるのか。同氏が実質経営を担う前、11年度から13年度までの3年間で、同社の年商は41%以上伸びてほぼ4兆円に、営業利益は2.6倍の2961億円となった。同社の業態と規模からすると、この成長と利益の増大は素晴らしいものだ。

アレバ買収

 さて、この秋に同社が逡巡している案件が、仏原子力大手アレバからの出資要請である。世界の原子炉メーカーでは、東芝が米ウェスティング・ハウスを買収し、日立はGEと手を組んでいる。

 三菱重工に残された花嫁はアレバだけ、という状況なのだが、私は同社がアレバと組むことには反対だ。大赤字に沈んでいるアレバと組むのもリスクがあることだし、出資が要請されている原子炉製造を担うアレバ子会社アレバNP社には、仏電力公社が半分以上の資本を持ち続けることが決まっている。

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