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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

人生後半を健康かつ幸せに過ごせるかは、若年期の生活が大きく左右するという現実

文=熊谷修/人間総合科学大学教授
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人生後半を健康かつ幸せに過ごせるかは、若年期の生活が大きく左右するという現実の画像1「Thinkstock」より

 日本は65歳以上人口が全人口の2割を超え、高齢社会から超高齢社会に突入した。世界で初めて超高齢社会を経験するのが日本人である。いよいよ、寿命90年の時代到来である。「どのように齢を重ねるか?」について真剣に考えなければならない時代がきた。

 その中の最大のテーマが、健康問題であろう。健康状態の良し悪しは自らの人生を大きく変えてしまう。そして若年期から真剣に考えておかなければならない。人生後半の健康状態や人格・気品には、若年期のライフスタイルが如実に反映されるからである。にもかかわらず若者は、馬耳東風である。

 筆者は大学教育に関わりながら、東京都健康長寿医療センター研究所(旧東京都老人総合研究所)で長年にわたりシニアのための健康施策を開発する研究に取り組んでいる。シニアの健康問題の科学研究は、非常に奥深いものがある。巷のシニアはメタボリックシンドロームに目を奪われているように見えるが、ただお腹をへこませ、血圧と血糖を正常域に維持しても健やかなシニア期など実現できないことを教えてくれるのが、シニアの健康科学である。

 本連載では、シニアの健康科学を通して明らかになってきた、一生を通じて実践すべき健康づくりの手立ての核心に迫りたいと思う。シニアの方々はもとより、より若い層の方々に通読していただきたい。シニアのための健康づくりの手立ては、すべてのライフステージの健康づくりの基盤となるからである。

健康づくりの目標

 はじめに、人生後半の健康づくりの目標について明確にしたい。われわれは齢を重ねるに従い、さまざまな病気を経験する。その中には治る病気と治らない病気がある。治った病気は忘れればいいが、治らない病気はからだに蓄積されていく。「無病息災」という言葉があるが、地域在宅の大勢のシニアを対象とした長い研究生活の中で、真の無病息災の御仁にはいまだ出会ってはいない。さまざまな病気を抱えながら楽しみ暮らすのがシニア期である。

 この病気との共生関係の成立は個人差がとても大きく、シニアなんてまだまだ先という若者でも十分ありうる。人生90年の時代では、共生している病気の数やその程度で健康状態を評価することはナンセンスになってしまう。そこで1984年に世界保健機関(WHO)は、シニア世代の健康状態は「地域社会で自らの生活を運営する総合力で評価すべき」と提唱している。この提言は、単にシニアに限った考え方ではなく、幅広い世代で共有しなければならない。

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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