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清水和夫「21世紀の自動車大航海」(10月16日)

VW不正で、自動車業界「禁断のタブー」にメス?

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ディーゼル車市場全体に大きな影響

 つまり、アメリカでディーゼルを市販するのはかなり高度なエンジン制御システムが必要となる。実は過去にも、アメリカの厳しい排ガス規制がクリアできないことから、多くのメーカーがディフィート・デバイスを使っていたという歴史があるのだが、現在は(少なくとも今回のVWの疑惑を除き)使われていないはずだ。しかし、アメリカでは独ダイムラーのメルセデス・ベンツやBMWもクリーンディーゼルを販売しているので、VWは排ガス規制が厳しいから違反したとは言い難い。

 排ガス規制に適合させるにはNOxの発生をいかに低減できるかがカギとなる。その要の技術が触媒で、現在VWとアウディは2種類の触媒を使っている。

 今回、違反の対象とされているのは、全米で08年から15年までに市販されたVWとアウディのディーゼル車約48万台で、ゴルフ、ジェッタ、ビートルと最新のパサート、さらにアウディA3である。

 詳しく調べてみると、09年モデルのジェッタなどはNOx吸蔵触媒を使っているが、パサートは当初から「Ad Blue(尿素SCR)」を使用。また、VW 独自の設計共通化手法MQBによって開発生産される新型ゴルフやアウディA3も尿素SCRを使っている。つまり、触媒方式にかかわらず不正プログラムが使われていたことになる。一方、08年前後にアウディが開発した3リッターV型6気筒のディーゼルは、今回は問題視されていない。

 もし、VWが法令に違反していた場合は、1台当たり最大で3万7500ドルの制裁金が求められるので、全部で約180億ドル(2兆円強)となる計算だ。これからの調査で、故意か過失か、あるいは疑惑はなかったのかが明らかになるはずだが、制裁金の額以上にVWとアウディブランドに傷がつくことが心配だ。

 この問題はディーゼルの主要マーケットである欧州でも深刻に受け止められている。ドイツ環境省は監督官庁である連邦自動車局(KBA)がドイツや欧州で似たような不正があったかどうか、自動車メーカー各社に信頼できる情報の提供を求めている。欧州委員会は詳細な情報を収集するため米国EPAや加州大気資源局(CARB)とも連携して調査している。さらに再発防止のために、欧州委員会は排出ガス試験と現実の使用環境での乖離を無くすべく、実際の走行時の排ガス量も測る新試験法を16年1月から開始する予定だ。

 もはやアメリカだけの問題ではなく、ディーゼル車を販売する世界各国で調査が始まるだろう。近いうちに日本で導入予定のVW、アウディのディーゼル車の排ガス性能に対する信頼性が気になるところだ。
(文=清水和夫/モータージャーナリスト)

清水和夫オフィシャルページ
http://www.shimizukazuo.com/

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<参照ページの紹介>
米国政府EPA
http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/d0cf6618525a9efb85257359003fb69d/dfc8e33b5ab162b985257ec40057813b!opendocument

VW本社の声明
https://www.volkswagen-media-services.com/en/detailpage/-/detail/Statement-of-Prof-Dr-Martin-Winterkorn-CEO-of-Volkswagen-AG/view/2709406/7a5bbec13158edd433c6630f5ac445da?p_p_auth=6VRBWvkI

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