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郵政上場、高成長の可能性は「ない」が、日本を大きく活性化させる可能性「大」

文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授
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大きな可能性

 諸外国に目を向けると、ドイツポストやベルギーのビーポストに続き、13年10月にはイギリスのロイヤルメールが上場した。同株は予想を上回る人気を集め、申し込み倍率は機関投資家で20倍以上、個人投資家は約7倍。売出価格は3.3ポンド。上場日の初値は3.3ポンドから跳ね上がり、終値は4.89ポンド。その後も株価は比較的安定している。

 ロイヤルメールが株式市場で評価された点は、ネットワークと強いブランド力と市場における優位な地位、小包やeコマース等、明快な成長戦略、オペレーションの改善による利益率の向上、ユニバーサルサービスの維持可能な規制の枠組み、顧客重視のビジネス戦略などである。日本郵政も同様に、成長の将来ビジョンを明確に示す必要がある。

 日本郵政グループは中期経営計画で、直面するさらなる収益性の追求、生産性の向上、上場企業としての企業統治と利益還元という新たな3つの課題を克服するため、グループが一丸となって、郵便・物流事業の反転攻勢や郵便局ネットワークの活性化、ITの活用や施設・設備への投資などを行い、将来にわたって発展していくことを目指す計画を公表している。持続的な成長に向けたビジョンと着実な実施があってこそ、投資家から評価される。

 上場し、民間人的な意思決定力やガバナンスがそれぞれの企業の隅々にまで行きわたって、民間企業として自律的な経営が実現できれば、流通業、金融業、不動産業などさまざまな分野で競争が活性化し、日本中のさまざまな地域の住民、消費者の生活がより豊かなものになることは確かだろう。その意味で、日本郵政グループの株式公開は、日本経済、社会の活性化につながる大きな可能性を秘めたイベントとなることは間違いない。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)

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