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ダイソーの化粧品から検出の発がん性劇薬、接着剤や塗料、食器など日用品にも幅広く含有

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト

実は身の回りに蔓延しているホルムアルデヒド

 このように危険性の高いホルムアルデヒドですが、その化学構造は意外に単純で、化学式は、HCHOです。つまり、アルデヒド基(CHO)に水素(H)が結合したもので、アルデヒドの中では最も簡単なものです。ちなみに、エチルアルコール(C2H5OH)が体内で酸化してできたものが、アセトアルデヒド(CH3CHO)で、二日酔いの原因とされています。
 
 ホルムアルデヒドは過去にも何度か問題を引き起こしています。12年5月、利根川水系のいくつかの浄水場においてホルムアルデヒドが高濃度で検出され、一般家庭に供給される水道水のホルムアルデヒドの濃度が水質基準の0.08mg/Lを超える見込みとなったため、一部の浄水場では取水停止の措置が取られ、広範囲で断水が発生しました。これは、河川にホルムアルデヒド前駆物質が流れ込み、それが浄水場内で消毒薬の塩素と反応して、ホルムアルデヒドに変化したものです。
 
 このほか、1980年代後半には、学校給食の食器からホルムアルデヒドが溶け出る可能性があるとして大きな話題になったことがありました。九州や関東の一部の小・中学校で、それまで使われていたアルマイトの食器に代わってメラミン樹脂の食器を導入しようという動きがあった時です。メラミン樹脂は耐熱性に優れ、割れにくく、陶器に近い質感があり、子どもが使用するのに適していると考えられたのです。

 しかし、前述のようにメラミン樹脂の原料にはホルムアルデヒドが使われているため、熱い汁などを入れるとそれが溶け出す危険性があります。そのため児童・生徒の父母たちが猛反対し、導入が見送られることになったのです。なお、今でもメラミン樹脂は、一般にどんぶり、皿、カップなどの素材として使われています。

 ダイソーのマニキュア問題によって、ホルムアルデヒドの危険性があらためてクローズアップされましたが、直接体内に取り込んだり肌に塗ったりしなくとも、一部の接着剤、塗料、防腐剤、プラチックなどに含まれており、揮発して家庭内や大気中の空気を汚染しているのです。また、自動車の排気ガスにもホルムアルデヒドが含まれています。それが白血病などの一因となっている可能性は否定できません。今回の事件を契機として、ホルムアルデヒドの規制を厳しくしていくことが望まれます。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

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